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第22話「確認と料理」

だいぶ遅くなってしまいました


のぶやぼがわるいのです

 

 食事問題が解決した談話室ではめいめいそれぞれの召使たちと話をしたりしている。

 リリはリンさんの魔眼の能力についていろんなタイプの鎧を出して実験している。ヴィスとネーヴェはハティとそれはそれは楽しそうにお話ししている。ハティの目が少し羨ましそうにミオル、カシルを見ているのは気のせいだろうか。


 先ほど俺を追い詰めようとしたシルーは久々に喋って目が覚めたのか、ハープーー水瓶型の竪琴ーーを弾いている。曲調は柔らかで見事にBGMとして耳障りでもなく会話を止めさせないいい具合の音楽だ。


 談話室は結構広く、西側の壁に暖炉が備え付けられそれを囲むように三人がけのソファが三つ、この字型に並べられている。その周りに幾つかのテーブルと椅子が置かれている。食事問題の話し合いをしたのもこの部屋だ。席割りは俺とリリ、ハティとシルー、ネーヴェとヴィスというのがいつもの並びで、今はハティとネーヴェは同じソファに座りその近くにヴィスは椅子を持ってきて座っている。残りの一つずつリリ、シルーが座っている。そのため俺が座るのはソファ後ろのテーブルに椅子を持ち寄り三人で座っている。


 まずはリータスからだ。

 なんでステータスを詐称したのか、を聞く。


「あれは竜人族秘伝の呪法です。ご主人様にも見破れなかったんですか!驚きです!」


 ひでんのちからってすげー!


 いかんいかん、なんかボールからモンスターが飛び出る感じの世界線に飲み込まれかけていた。


「じゃあ、俺に会うためとはいえなんで奴隷になっていたんだ?」


「話はしばらく前に遡ります。去年の春、竜人族の里にオークの大群が押し寄せてきたのです。本来、オーク相手ならば竜人族は遅れをとることはありえません。しかしその時のオークは数が違いすぎました。さらにはオークロードと呼ばれる上位個体も数体いたのです。

 オークという魔獣は一体一体の能力は竜人族にとっては歯牙にもかけない雑魚です。しかし、ロードクラスの存在により強化された大量のオーク相手に里にいた子供たちを守りながら戦うことは不可能に近く、仕方なく大人たちは一度里を捨て森に隠れました。

 それにより里はボロボロ、もとより少なかった食料ももとより少なかった食料も全て食べ尽くされてしまいました。

 里長はそれをどうにかするために口減しの意味も込めて誰かを売るにしたのです」


「それであそこにいたのか。でもそれじゃなんで男のふりをしていたんだ?」


「それは売られる子の選び方にありました。本当は女の子が一番高く売れますから里にいる女の子、私ともう一人のどちらかが選ばれることになったことになったのです。そうしてある夜私の夢枕に地帝という方が立って『男のふりをして奴隷になれば王国領でお前はオッドアイの少年に会うだろう。その子供についていけばお前は英雄の仲間になれる』って言ってくれたのです。そこで言われた通りに里長に話してみると里長も同じ夢を見ていたようで言う通りにしたら見事にご主人だ間に合うことができました」


 あのおっさんはいろんなとこに手を回してくれてんだな

 まあ全体としての筋は通っている。



「妾の話は簡単じゃ!狐の時は狐の時、人型の時は人型の時。二種類あるだけじゃ」


「さいですか」


 ユオはあっさり言ってのける。


「ちなみに攻撃魔法は苦手じゃ。幻覚魔法なんかは任せるが良いぞ」


「さいですか」


「妾に対する反応が雑ではないか?妾がついて来た理由とか聞かんでも良いのか?」


 どうしても聞いて欲しいのかよ?この狐娘は。

 首をかしげ

 俺は限りなく棒読みでユオに話しかける


「どうしてついてきたのですか?」


「おもしろそうだったからじゃ!」


 満面の笑みで答えるユオは何より楽しそうだ。

 それを言いたいがために俺にわざわざ聞かせるとは生意気な奴隷だ。なんて言ってみたいが別にいいか。



 それにしても狐の姿と人型、自由に変えられるのは便利な力だ。時と場合に合わせて変態できるとはめんどくさい時には狐になって知らんぷりなんてことができるかも。


 さていい時間帯になってきたし自室に帰って寝ようかと思うとちょうどシルーもことを片付けハティに挨拶をしている。それを聞いてネーヴェとヴィスも片づけを始める。


 このおやすみの挨拶をおやすみの挨拶を始めたのは言うまでもなく言うまでもなくハティ信者の頭のいい方ことネーヴェだ。初日からほとんどの時間をハティと一緒に過ごしており、側近枠とやらで選ばれた俺なんかよりずっと側近している。初日の夜からハティ信者たち二人とシルーは必ず挨拶している。俺とリリはしたりしなかったりがある。


 挨拶するとすごく嬉しそうにハティは笑い、「いい夢を」と一言添えることを忘れない。というか、話しかけるたびに嬉しそうな顔をする。王宮育ちで友達がいないのだろう。


 たぶん





 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 メンバーが増えたことで買出しもだいぶ楽になると思っていた。

 前から行っていた俺、リンさん、オディナさん、ノグレーさんに追加して、ミオル、リータス、ユオの三人が行けるようになった。ミオルもリータスもユオもなぜかペアに俺を指定するので結果としてこれまでと買出しに行く回数は減っていない。

 むしろ増えている。

 ふざけてる。


 料理の方は楽になった。

 ローテーションは主人と召使のペアで順番はいつもの順番、つまりハティ、ネーヴェ、ヴィス、俺、俺、俺、シルーだ。

 いつものと言ったくせになぜ俺が三回出てくるかというと、まずリータスとペアで一日、ユオとペアでもう一日。

 この時点でもうおかしいのだがシルーがまたも珍しく発言知っと思ったら「二人召使がいるなら二日作って」という言葉にリリとヴィスが乗っかり、俺の二人も「ご主人様「主殿と共同作業」」となぜかニヤニヤしながら承諾したからだ。


 その後は一日はリリのアシストだ。アシストのはずなのに90%近くを俺が行っている。その上アシストはみんなで回そうという話だったはずなのにいつのまにか俺がリリ担当になった。


 当の本人、リリは

「ルースが作るのが一番いいじゃない」

 と言って本当に最低限の作業しかしない。



 そんな俺たちの初ローテーションの食事はいい感じだった。


 ハティ、ログレーさんペアの料理はいたって普通の基本を逸さないパン、スープ、メインはそれぞれこの魔族領で一般的に食べられているそれなりの値段の白パン、大きめに切られた野菜がゴロゴロ入ったスープ、牛肉をしっかりと焼いたステーキ。どれも美味しく味付けされており正道を外していないので不味くなるはずがなかった。


 作ったハティはコロコロと笑いながら楽しそうに「これは私の切った野菜です」なんてネーヴェに自慢をしていた。もちろんハティ信者たちは自分のスープの中から野菜を見つけては品評会をしていた。


 ネーヴェの日は料理をしたのは明らかにレムさんだとわかりやすい料理だった。いかにもお酒に合いそうな味の濃いスペアリブステーキと貝の形をしたショートパスタをトマトソースで煮込んだものだった。


 おそらく作っていないだろうネーヴェは申し訳なさそうにハティの方を見ていたが、そんな料理を食べ慣れていないハティは初めての味に感動しながら食べ進めていた。


 ヴィスの日の料理は打って変わってヘルシー魚料理たった。こちらの世界でも日本のように生魚を食べる習慣はないので当然ソテーしたものとパンだった。ミオルが言うにはビカープという川魚を腸を取り除いたのちハーブを詰めてオリーブオイルで焼いたらしい。


 確かに川魚特有の臭みも抜けていて美味しく食べることができた。ヴィスは魚を焼いたんです、とハティに自慢げに話しておりそれを見たもう一人のハティ信者が悔しそうにしていたのを俺は見てしまった。


 さて俺の日だが一品はリータスが作ると言ったので俺はジャガイモのポタージュとパンを焼いた。明日も俺が担当すると考えるとパンを作り置きして明日楽するためだ。数日前にデザートにした林檎から天然酵母を作った自信作だ。ちなみにその知識はリンさんが教えてくれた。


 そしてリータスの作った森トカゲの丸焼きとともに食卓に提供された料理たちは好みの分かれる結果となった。リリ、ユオ、猫姉妹、ヴィス、レムさん、オディナさんは丸焼きも含め「美味しい、美味しい」とお代わりをするほどだった。一方でその他のメンバーは丸焼きのトカゲに尻込みしたのかスープとパンだけを食べていた。もちろん美味しかったようだが。


 次に俺の日二日目もユオが一品作るということで昨日焼いたパンを自分で作ったオーブンで軽く温め直しポタージュも葉野菜を入れて味を整えて終了した。


 そしてユオの作った料理は普通に美味しい肉野菜炒めだった。予想以上に普通に美味しくてリアクションに困ってしまうレベルの一品だった。好みの分かれることの多いみんなが美味しいといったのでかなりの料理力だ。これからは完全にユオに任せてもいいかもしれないと思っていた矢先にどこかの魔法使いは前日から諦めていた。


「明日はルースが手伝ってくれるのよね」


 食後に突然リリが話しかけてきた。珍しくやる気があるのかと思っていた当時の自分を殴りつけてやりたい


「ああ、俺が手伝ってやるよ」


 ここで軽々しく了承した自分を殴りつけてやりたい


「よろしくね」


 この『よろしく』の意味をしっかりと理解しなかった自分を殴りつけてやりたい


 結果、リリがやったのはパンを切っただけだった。

 リンさんは一応手伝ってくれようとしたが、いまにも指を切りそうでとてもじゃないが刃物を持たせられなくて鍋当番になった。

 鍋当番と名前をつけたところで俺が具材を入れた鍋をかき混ぜるだけだ。


 次のローテでは他の誰かにこの役目を押し付けることができるのが不幸中の幸いだ。


 ローテーションの最後シルーペアの日は予想外の結末だった。

 いや、ある意味予想できていたが…


 全部オディナさんが作った。


 以上。


 シルーは料理には一切手を触れずに歌を歌っていたらしい

「歌でご飯を…美味しく……」

 胎教にいいみたいなノリで言われても…



 このメンバーでこれから生活を共にすると考えると少し憂鬱になったのはここだけの秘密だ。

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