第9話:ことごとく、暑くてタリ〜ぜ
時間的なことがまだ、はっきりしていなかったみたいなので紹介します。
現在、7月の中旬。もう少しで、高校初めての夏がやってくるころあいです。
「あつー」
ズボンの裾をめくりあげて、ヤンキースタイルになっている幾斗が今にも枯れそうな声で言った。季節は夏!何年も土の中で育ってきたセミたちが、初めての地上で大合唱をおこなっている季節である。
ここ、青海高校はまぁ、普通の高校なのでクーラーもないし、水泳の授業が無い!昔はあったらしいが、学校の事情で無くなった・・・・。
時は昼。屋上で4人の人影が弁当を食べている。雛菊、幾斗、安曇、そして新メンバーの武藤だった。武藤は、前回の話をみてたらわかるように、安曇の彼氏である。まぁ、不良で髪は金で耳にピアスって感じのかっこうである。教室では、安曇の隣の席・・・・。
「赤城くんは、夏休みなんか用事ある?」
安曇が幾斗に質問した。幾斗は
「バイトがあっけど、ずっとじゃねーから暇な日もあんじゃね?」
「会長さんは?」
「わ・・私は、生徒会の仕事があるけど、たぶん大丈夫よ」
それを聞いて、安曇は満足そうな顔をすると
「じゃあ夏休み、4人でどっか行こうよ」
「ちょ・・武藤君はだいじょうぶなの?」
とりあえず、武藤にもと思い雛菊は質問すると・・・
「僕ですか?だいじょうぶですよ。」
みなりに似合わず、言葉が丁寧なのが特徴だ。なるほど、だから安曇が不良ぽくないと言ったのか?
「武藤君には、あらかじめ聞いといたの」
そう安曇が説明すると、
「で?いつ?ドコに行くんだ?山?海?川?映画館?それともデパートか?」
幾斗の質問に安曇は「ふっふっふっふ」と得意げに笑いながら。
「夏といったら、祭りでしょ?」
まぁそういうわけで、8月に夏祭りに行く事が決定した。
夏祭りと言えば、浴衣!安曇と雛菊は7月の終わりに2人で浴衣を買いにショッピングに行き、高校生が買える値段の浴衣を買った。雛菊はピンクに花、安曇は青に蝶の模様が描いてある浴衣だ。しかし、着かたがまったく解らなかったので、浴衣屋の店員さんに丹念に教えてもらい、それから3日後にやっと着こなせるようになった・・・。
祭りは、8月4日。つまり明日である。雛菊はドキドキしていた。友達と遊びに行くなど初めてだし、しかも幾斗と一緒に行けるのだ・・・。変な妄想が頭をよぎってもおかしくない。胸の高鳴りがピークに達したのと同時に携帯電話の着信音が鳴った。
ダダダ、ダン!ダダダ、ダン!ダダダ、ダアーン!
ベートーベンの運命の着信音が鳴ると、雛菊は携帯電話を持ち上げ電話にでた。
「はい、もしもし?」
「あ、会長さん?私〜♪明日の集合時間は5時だったけど、私と武藤くんちょっと遅れるから、先に祭りに行っててくれない?」
と安曇からの電話であった・・・
まさに、妄想がピークに達する?瞬間だった。
これは、運命かもしれない。
ねぇ?ルートビッヒ・ヴァン・ベートーベンさん?
作者に感想、手紙をよかったらください。おまちしております。




