第8話:そんなことですか・・・・?
待っている時間が、随分永く感じられたのはなぜだろう・・・・・
その時間、膝を抱えてうずくまっていた。
雛菊のもとにかけよる足音がしたのは、それから少したってからである。雛菊もその音に気付き、顔をあげると幸せ100%みたいな顔で安曇が近づいてきた・・・・・。そして、
「会長さん、本当にありがとう。会長さんのおかげで告白できたよ」
「そ・・・それは・・・よかったわね・・・そうだ、で?返事は?返事はどうだったの?」
最後の希望をすべてそこに注ぎ込んだと言っても過言ではない。お願い、お願い
すると、安曇はゆっくり口を開いた。
「OKだって。私、すっごく嬉しいよ」
最後の希望の手綱な切れた・・・・。
「そう・・よかったじゃない」
そう言って、祝福の言葉を送るしかなかった・・・・。
しばらくして、安曇はさっさと立ち去ってしまった。雛菊はショックで胸が締め付けられるような痛みに襲われ、もはや泣く事も出来ないくらい気持ちが逝ってた・・・トボトボと廊下を歩き、やっとのことで靴箱にたどりついた・・・。
「おい、会長!」
どこからともなく幾斗があらわれ、歩く屍のような雛菊に話しかけた。
「まぁ・・・おもしろいと言えばおもしろかったな・・・まさかあの糸河が告白するだなんて・・・」
「そう・・・よかったね・・」
そう言って雛菊は学校を出た。
朝がやって来る、まさかこんなに早く失恋するだなんて誰が予想しよう。
雛菊は家を出ると、そのまま学校に行った。もはや、彼女ができた幾斗くんを起こすしつようがどこにある?
昨日は、あまり眠れなかった。自分の気持ちを安曇にも幾斗にも伝えれなかった悔しさが雛菊の脳内でグルグル回転している。
後ろの席に目をやってみたが、幾斗はなぜか学校に来ていないのか席にはいなかった・・・。
昼、安曇と弁当を食べていた雛菊は、安曇に聞いてみた。
「赤城くん、なんで今日休みなの?」
「寝坊でもしたんじゃないかな?起こしに行かなかったの?」
「なんで?あなたが彼女になったんだから彼氏の面倒くらいみてもいいんじゃない?」
ちょっと嫌味に聞こえたかもしれない、自分のせいでこうなったのに人にあたるなんて・・・私って最低かも・・・
安曇は不思議そうな顔をして、
「ちょ・・ちょっとまってよ・・・私の彼氏は赤城くんじゃないよ?」
「へ?だって昨日、幾斗君をつれてったら告白できたって言ってたじゃない?」
どうも、話が組み合わない?なんでだろう・・・・そこへ
「会長!なんで起こしにきてくんなかったんだよ!寝坊しちまったじゃねーか!」
そう言って、幾斗が2人の近くに腰を下ろし、聞いてくる。
「ね・・・ねえ。昨日、糸河さんは、誰に告白したの?」
幾斗に聞くのが一番早いだろうと思った雛菊はさっそく幾斗に聞いてみた。
「はぁ?武藤にだろ?たしかそうだったよな、糸河!!」
「う・・うん」
少し、赤い顔をして、安曇は言った。
つ・・・つまり すべて私の勘違い?
身体のすべての力が抜けたかのように、雛菊の身体はへなへなと床に倒れた。
「か・・・会長さん!だいじょうぶ?」
安曇の声がするが、すべての悩みが一瞬でたち消されたという安心感で、もう燃え尽きていた・・・・
少したって雛菊が聞いた話だが、武藤勇気くん(糸河の好きな人)があの日、偶然屋上に来たため安曇は雛菊が呼んでくれたと勘違いしたのであった。
幾斗はというと、それを影でみていたらしい。
昼休憩が終わりに近づいてきたので、安曇と雛菊は弁当を片付け、教室にもどろうとした・・・・。
「会長さん。武藤くんがね、明日から一緒に屋上で弁当食べていい?って言ってきたんだけど・・・幾斗くんはいいって言ってたけど会長さんは?」
「も・・もちろんいいわよ。」
その、武藤くんって人とも仲良くなれるかしら?そう思っていた雛菊に安曇は言った
「会長さん。私、今回の一件でわかったんだけど・・・」
「なにが?」
「会長さんて、幾斗くんのこと、好きでしょ?」
生徒会長はひどく、赤面したとさ。
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