第22話:雪結晶と紅い薔薇
お久しぶりです
期末テストも、全員無事に終わった。(赤点をとらなかった。)
あとは、ながれ行く平和な高校生活を満喫するだけとなった青海高校の6人。
みんながみんな個性的で共通的な不思議な6人。不良、ヤンキー、ギャル、優等生、オタク、舎弟。。。。
みんな、孤独を味わって、みんな周囲に追われて・・・・
孤独、死、仕事、いじめ、差別、チクリ、無愛。。。。 彼らを孤独にくくり付けていたものはそれぞれ違うが、彼らは自らその孤独の鎖を断ち切った。
きっと、今は幸せなのだろう・・・・・
「やべぇー学校遅刻するぅ〜」
猛ダッシュで走る青髪の不良。
「幾斗君がなかなか起きないからじゃない。」
隣では、超美人な女の子が不良に文句を言っていた。どこにでもあるような青春の光景。走る二人の学生を周囲の人は、温かく、また懐かしそうに眺めていた。誰にでもあった青春。それは人によっては悲しかったり、楽しかったりとさまざまだが、それは自分が生きてきた証なのである。
もう冬である。今年はまだ雪は降っていないが、だいぶ寒くなってきていた。まぁ、いつ雪が降ってもおかしくない状況というわけである。北風がビューと音を立てながら空を通りぬけて行く。
雪は降っていないが、すでにこの時もう、本当の冬がやってきていた。心が凍りつくような、冷たい冷たい冬が。。。。。
「あっ!雛菊!!わりぃ。先に学校行っててくれ。」
校門を目の前にして幾斗が急に言い出した。
「え?あっ?学校目の前だよ?」
「ちゃんと行くって。でも用事すませたあと・・・昼飯までに行くからさぁ!!」
そう言って幾斗は学校と逆の方向へ走り出していった。雛菊はその後ろ姿を見送ったあとに、学校に入った。ギリギリ授業も始まっていなかった。それどころか、担任の先生の急用で1時間目が自習になっている。ラッキーだ。
いつもの生活がはじまる。”普通が一番”そう誰だったか忘れたが歴史上有名な偉人も言った。
そう、普通の生活が今日も始まると思った。そして、席につこうと思い、自分の机に近づき椅子を引っ張り出す。なにげない、普通の出来事をはじめようとしたその瞬間。
ガターン
「ふざけんなよ!!」
かん高い女子の声が前の席の方で聞こえる。雛菊が目をやると、机にうつぶせになった安曇の姿があった。そして、それをとり囲む怖い顔をした女子達がいた。
「いい加減にしろよ!マジきもいんですけど?」
「くさいんだよ!害虫女!寄生虫!」
「おい、これどうする?マジでシメちゃう?」
安曇を囲んだ女達は、安曇に口々に暴言を吐いた。聞くにたりない汚い言葉を安曇に吐いていた。
「わ・・わたしが・・なに・・・を・・したって。。。。。「「はぁ?わかってないの?」
泣き声で質問をしようとする安曇を怒鳴り声で押しつぶす。雛菊は混乱した。なんで安曇があんな状況か・・・どうしてそうなったのかが・・・
でも1つだけはっきり解っていた。これは”いじめ”なのだと。
床には安曇のカンペンケースが落ちていて、鉛筆、消しゴムがみるも無残な姿になっていた。カンペンケースはボコボコに凹んでいるし、安曇の机には”死ね”や”害虫女”など数多くの暴言、中傷的な言葉が書き込まれていた。
雛菊はかなり混乱した。友達・・・友達がいじめられている。雛菊が混乱するのは無理も無い。相手が相手だったのだ。
彼女に逆らったらどうなるか、みんな知っていた。彼女は、この青海高校でも1部の女子のボス格であるが、その力は強力で逆らったものは女子の"群れ"に酷い、残虐な仕打ちを受けることになる。
しかし、そんなことを見て見ぬふりをする雛菊ではなかった。いじめを受けている生徒が目の前にいてそれは親友・・・自分は生徒会長。安曇が何をしたのか知らないけど、そこまでやる必要などあるはずがない。手が少々痙攣しているが、そんなのを気にしていたら安曇が大変なことになる。
雛菊は席を立つと安曇の席の横に立って。
「やめなさいよ」
と、やや小さめの声で集団の中に割って入った。女子集団の目がいっきに雛菊に向けられる。冷たい視線が雛菊に集中砲火をあびせるが、雛菊も負けじと睨み返す。喧嘩の得意な幾斗ならまだしも、そうでない雛菊が睨んでも怖くない。ましては、可愛いほどである。。。。
「会長さん、いいとこに来ましたねぇ。ちょっと聞いてくださいよ」
茶髪にショートヘアーの女子が雛菊に言った。
「こいつ、あたしのものを盗もうとしてたんですよぉ!こうなって当然じゃないですかぁ?」
そういい終わると、女子達が一斉に
「私もやられたぁ・・「私なんか・・・・
「私も・・・「私は彼氏を・・・・
「私は・・・ 私は・・・ 私は 私は 私は・・・・・・
と口々に被害起訴を行う、無論安曇がそんなことするはずが無い。しかし、ここで反論すれば生徒会が危うくなる。生徒を疑ってばかりで、友達をヒイキする会長とか言われそうであるのは、確かだった。
雛菊はまたもや混乱した。 答えは明白である、いじめはいじめである。ここは制裁を加えるべきだ。
震えながら、机に顔を押し付けている安曇をみるともう制裁を加えなくては、気がすまない気がした。
飛び掛ろうとした瞬間、
「さっきからみてたら調子のってんじゃねぇーぞ、こらぁ!!」
いきなり美貴が乱入した。女子達も一瞬引いたが、すぐ体勢を変えると美貴に対して攻撃態勢を構える。
その乱闘にまぎれて雛菊が乱入し、ギャーギャーワーワーと騒ぎが始まった。第1次でも第2次世界大戦でも同盟国側は圧倒的に数が少なく、連合国側に物資量で大敗したように、雛菊たちはたったの3人、といっても安曇はふせているだけなので事実上2人である・・・・敵は10人前後・・・
男子のように殴りあったりはしないが、口などで相手を攻撃していく・・・・女子の喧嘩である。
そこに、1人の女子が声を張り上げた
「安曇なんて、しねやぁ!!」
ガッシャーン
その女子の言葉がおわる少し前に、大きな音がした。みると、机が派手にひっくり返っており足を振り上げた赤Tーシャツの不良と、髪を綺麗に整えた男子が立っていた。いずれも厳つそうな顔をして女子達をにらみつけていた。
まぎれもなく、我らがむっちゃん(武藤)と友一であった。
「お前ら、死ぬか?」
武藤の唇がすこしばかり開いた。
いやぁ、今回短くてすみません。イロイロ忙しくてなかなか書けませんでした・・・・・
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