第21話:鋼鉄のキルマーク
まぁ、ラブコメだからベタラブの話もあっていいんだろが。
今回は、高校生の現実的な悩みの話です。
10月、ここ青海高校はそろそろ期末試験の時期に突入していた。クラスでも、ピリピリした空気がただよい、みんな机にかじりついて勉強をしている。
一部の人を除いて・・・・
「期末試験だなんて、タリィー」
グダグダと文句を言いながら、幾斗はしかめっ面をしていた。
「そんなこと言っても・・しかたないでしょ?」
雛菊が平然と答える。
「そりゃあ会長さんは頭いいから余裕だろうけど・・・私なんか・・・・」
そう言うと暗くなる安曇。
「試験?流しとけばだいじょうぶっしょ!」
能天気発言をするのは美貴
「はぁー。試験だなんて気が重くなりますね。」
不良の発言には思えない武藤の言葉
「では、僕は帰ってゲームするんで。」
試験に興味なしな、友一の発言
「俺は・・・サボる!」
サボリ宣言を堂々とする幾斗
5人の言葉を聞いて、雛菊は
「はぁー。しょうがないんだから。」
と少しあきれた声を出す。まぁ、このメンバーでまともといえるまともな人種はただの1人もいないのだからしょうがないといったら、しょうがないのかもしれないが。。。 それでも学生の本分は勉強!
それをよく熟知している生徒会長、山内雛菊は不良、ヤンキー、ギャル、舎弟、オタクどもに大声で言った
「今日!勉強会するわよ!」
雛菊の提案により、今日は勉強会をすることになった。場所は私立図書館である。めずらしい図書館で、24時間営業という異様な営業時間を誇る青海の勉強熱心家のメッカである。つまり徹夜OKという場所・・・・
本の数は県内トップの3億7千万冊で日本だけではなく、アメリカ、ドイツ、デンマーク等の普段見れないような本もかなりの数おいてある。
読書の秋だ何だ言われるこの季節にはもってこいの勉強場所なのかもしれない。
そんな、巨大かつ広大な図書館の中のすみの机に6人は腰掛けると勉強を開始した。
カリカリカリカリ
ゴリゴリ
ケシケシ
カリカリカリ
最初はみんなノートや問題集にペンを走らせていたが、数分後には雛菊を除いた5人がノートや教科書、問題集を投げ出していた・・・
集中力がまったくもたないようだ・・・・今までろくに勉強した事の無いような人種なので、やっぱり慣れていないのだろう・・・
「ぜっんぜんわかんない・・・・」
幾斗が机にうつ伏せに顔をうずくめた。どうたら、脳みそがパンクしたようだ・・・情報量の限界のなのかもしれない。って、幾斗の頭っていったい何キロバイト入るのだろうか・・・・いや、バイト?まさか、ビット?
安曇や美貴もグダグダし始めた。
前に、「乱れた浴槽」という成人向けの本を読んではないがみたことがある、この場合は浴槽ではなく「乱れた勉強会」だなぁ(作者談)
雛菊は、そんなみんなをみながら、ため息をつく。あきらめのような、情けなさのような、そんなため息を・・・・
しかし、雛菊はそんなふうに勉強会が乱れていくのを黙って見過ごすようなあきらめの早い女でも、生徒会長でもなかった。
スッっと静かに立ち上がると、まず安曇のもとに駆け寄った。安曇は数学の問題集を開いてはいるが全然出来ていない。ようするに解答欄が真っ白ということである。
雛菊はその問題集の問1と書かれた図形の問題を指差し、安曇に答えが解るか尋ねるが、当然のごとく安曇は解らないと意思表示をした。
「ここは、この定理を使えば簡単よ。」
雛菊は安曇にヒントを出した。安曇は問題の図形を5分ばかりにらんでいたが、雛菊のヒントを活用してスラスラとまではいかないがペンを走らせはじめ、3分後には解答欄に答えを記入した。満面の笑みで安曇は
「かいちょーさんーできた!この問題できたよー」
とまるで新しいおもちゃにスゴイ機能がついていてそれを、母親に見せる子供のような顔で安曇は雛菊に言った。
雛菊はその問題を除きこみ数分考えていると、
「ねぇ、これ間違ってるよ・・・」
世界が凍りついたような一瞬だった・・・安曇の頭の上にガーンと大きく書いてあるのが見えそうである。
「じゃ。。。じゃあどうやるの?」
安曇が雛菊に教えをこう。
教えてくれと言われたからには、引き下がるわけにはいかない。ましては、教えてあげなくてはいけない。なので、雛菊はバカな安曇に一から十まですべて丁寧に教えた。やりかとも、とき方も。。。。。
その後、なんとか理解した安曇に雛菊のお手製応用問題をやらせ、結果がボロボロだったので出来るようになるまで徹底的に叩き込んだ。
「こ・・・これでいいの?」
安曇は雛菊に48回目の再回答をみせる。
「これ、ここ間違ってるでしょ!計算でミスしてたらもったいないじゃない!」
それは、それは、本当のスパルタ教育であった。それは、虎の穴(店じゃないよw)のごとく、修練の門(アームじゃないよw)のごとくその時の安曇にとって、人生で一番つらくくるしかった出来事であったらしい(安曇談)
安曇は78回目の再回答を雛菊にみせると、ようやく合格がもらえた。雛菊はホッとため息をつくと安曇以外の人をみまわした。
すると、さっきまで寝ていた幾斗もP○Pのゲームをやっていた友一も、マニキュアをつめに塗っていた美貴も、音楽プレイヤーで平然と音楽を聞いていた武藤もノートやら問題集やらに真剣な眼差しでペンを走らせていた。
あんな、スパルタされてはたまんないとでも思ったのだろう・・・・
いらん話になるが、スパルタ教育のはじまりは、古代ギリシャのスパルタってとこではじまったんだ。古代ギリシアのポリス・スパルタでは、子どもは国の財産として大事にされていたんだよ。スパルタの子どもは12歳になると厳しい軍事的な訓練をやらされ、その過程で体に障害を生じた子ども等を殺害していき、残ったものだけをスパルタの市民として育てた。アテナイ(今のアテネ)の、自由で芸術や弁論を尊重した教育の対極がはじまりなんだ。
昔にくらべたら、今のスパルタなんて・・・ふむ、歴史とはよく勉強してみるものだなぁ。
実は勉強した経験があまり無いとは言え、実はこの5人にもちゃんと得意教科があったのであるw
赤城幾斗は数学が得意。実は幾斗のお父さんはパソコン関係の会社に勤めていた。(死んじゃったけど・・・)そのお父さんにPCの技術と知恵を叩き込まれている。そのため、PCによるハッキングや不正ダウンロード、プログラミングなどはおてのもなのである。知ってのとうり、ヴェージックにしろCCIにしろ、パールにしろ、C言語にしろ計算が必需である。 そのため、幾斗の計算スピードは半端ではない。
武藤勇気は生物が得意。両親とも生物学者で、世界を飛び回っている。幼いころから、本を読むのが好きで周りにある本(両親の本)ばかりよんでいたので、生物や物理はお手の物。
糸河安曇は国語が得意。実は将来の夢が小説家!そのため、何千何万という本を読んできているため、国語の読解力は最強。昔から幾斗と仲がよく、よく漢文を一緒に書いていたため漢字も得意。(漢文って言っても、夜露死苦、とか、爆走天使、とか鬼魔愚零とかそういうヤンキー文字である。けして、春眠暁を覚えず、などと高度な漢詩なんかをかけたわけではない。)
山中美貴は英語が得意。日本だけではなく、アメリカやイギリスのファッション誌や通販を読んだりするので英語は大の得意。そのほか、フランス、イタリア、ドイツ語などが話せるというとても国際的なギャル・・・
佐山友一は社会が得意。戦争ゲームや三国志、歴史を背景にしたゲームを数多くこなしてきているためである。それに、戦闘機や戦車、戦艦などのプラモデルを作ったりと歴史には興味があるらしい。そのほか、桃太○電鉄等の地理的ゲームもかなりの数やっているので地理も得意。 じつは、外国のゲームをやったりするので英語もなかなか出来るという、つわもの。
得意な教科は人それぞれなのですが、この5人を総合してそれに無駄な知識まで付け加えた脳みそをもつのが山内雛菊となるわけである。
勉強会開始から3時間が経過した。明日の歴史のテストにそなえてみんな、年代の暗記に励んでいた。
「えーっと1939年が第2次世界大戦、1940年にドイツ軍がベルギー、オランダ、フランスを降伏させた。」
友一がとてもマニアックな暗記をしていた。そんな問題でるのか?
「なぁ、大日本帝国憲法発布のゴロあわせってどんなん?」
幾斗が雛菊に問う
「えーと、1889年だから、1889(ひとはやく)覚えよ憲法、じゃないかしら?」
雛菊がこたえる。
「じゃあ、日清戦争は?」
今度の問に雛菊は少しつまってから
「1894(ひとはくっし)の戦争 ってのでどう?」
と自作のゴロを言う。
「なんか、覚えにくくない?それ・・」
友一が口を挟む。
「覚えにくいんだったら、自分で作ればいいんじゃない?」
安曇が言う。
「こんなのどうです?1894(ひとはくし)つき肉大好きとか・・・」
武藤のしょぼいゴロ。
「いやいや1894(ひとばくし)しちゃった、なんてどうよ!」
美貴のひどいゴロ
「いや、1894(ひとはくるし)い のほうがいいでーす」
安曇の提案
「!! !! 」
!! !!
その後、数分間みんな好き勝手にぎゃーぎゃーわーわー言っていたが、幾斗が
「1889(いっぱつきゅうしょ)にケリを入れる!でいいだろーが!」
なんで、ケリ入れるんだろう。なんで急所なんだろう? さまざまな疑問をのこしてそれに決定してしまった。
その後、3時間も勉強し結局帰る時間は10時半・・・ 教える雛菊も教えられる5人もクタクタであった。
帰り道の同じ雛菊と幾斗は、一緒に帰っていた。
「あぁーあ。今日はマジだるかった。勉強なんてよー」
不良だもの思うのは当然だろう。でも、雛菊は疲れたけど、今日が楽しかった。そりゃあ、幾斗にとっちゃあダルかっただろうけど雛菊にとってはそんなことなかった。
その、幾斗の言葉を聞いて雛菊は少しうつむいた。そして
「ごっ..「「でも、今まで一番楽しい、勉強だったぜ」
雛菊は謝ろうとした、しかし幾斗にさいぎられたのか、偶然かぶったのかはわからないがその思いは届かなかった。
でも、雛菊はうれしかった。同じ思いだったことが、楽しかったって言ってくれた事が。。
「明日のテストがんばろうね」
「あぁ、たまには悪くねぇ」
月明かりが2人分の影を優しく映し出していた。
「それにしても、急所にケリは清がかわいそうだなぁ」
「・・・・・問題そこですか?」
いやぁ。本当に久しぶりの投稿になります。みなさんもうしわけありません。リアルは忙しくって・・・
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