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第20話:〜夜鷹の夢〜妹殺し編(精神的に)

あはっは


「な・・なんで?」

安曇がとっさに幾斗に聞いた。幾斗は一瞬考えて、から

 「別に、理由なんてないけど?」

そう平然と答えた、

 「なんで?せっかくみんな赤城くんの誕生日を祝おうって言ってるのに!」

安曇は幾斗の言葉に納得できなくて反論する!

 「誕生日,誕生日って、ピーピキうるせぇんだって!誕生日くらい静かにさせろや!バーカ」

 「なっ!なにがピーピキよぉ!じゃあ,赤城君はわたしたちが迷惑だって言いたいの?」

幾斗と安曇が猛烈なケンカを繰り広げた。安曇の言葉に少し幾斗は退いたが

 「あぁーそうだとも,迷惑だよ。誕生日会は,俺がいなくたって龍子っつう主役がちゃんといるだろうが!」

幾斗がそう言うと,安曇は少しこわばった表情をしたがすぐもとの顔に戻って

 「2人ともが主役なんですぅ!」

安曇が幾斗を睨んだ,幾斗も安曇を睨んでいたが数秒が過ぎたとき雛菊が

 「幾斗くん、それはちょっと酷いんじゃない?みんな、幾斗くんのためにしてるのに!」

雛菊が、そう言うと幾斗は、少しがっがりしたような顔で

 「マジ!うぜぇー、勝手にしろや!」

 と,一声あげると,スタスタと帰っていってしまった。



  雛菊たちははいつもと様子が違う幾斗の背中を心配そうに見送るしかできなかった・・・。



 


 しかし,その後どうすることもできなくて,幾斗を除いた5人は安曇の家でパーティーを開いた。主役はもちろん安曇の妹の龍子だった。パーマのかかった髪を膝まで伸ばしたかわいい女の子。それが龍子だった。みかけに似合わず,安曇よりしっかり者だ・・・


  雛菊や武藤は,何度も幾斗に電話してみるものの出ない。



 今回で12回目になる,幾斗への電話をかけようと雛菊は携帯電話を開く,そしてボタンを押そうとした瞬間。

 「お兄ちゃんは?」

そう誰かが後ろから問いかけてくる,雛菊が後ろを振り向くと,いつも幾斗を迎えにいった時に出てくる幾斗の妹,赤城露子あかぎろこが立っていた。2つに結んだ髪がクルンとカールしていてかわいらしい。

 「幾斗くん,誕生日会いきたくないって言ってたんだけど,なんでかな?」

雛菊が逆に露子に問う・・・すると



 「やっぱり・・・今日は誕生日だから・・・・」

そう,小さく呟く。

 「ど・・どうゆうこと?」

雛菊は露子の顔をのぞきながら尋ねた。露子は丸い目でしっかりと雛菊を見ながら

 


「じつは........
















   





   「幾斗,お前に守るべきものはあるか?あるなら、強くなれよ、そして死ぬ気で守れよ。わかったな,幾斗..いく...と...



自宅のコタツの中で幾斗はぐったりと横になって過去の夢をみていたが、どうやら夢から覚めたようだ・・・・

 「親父・・・・」

幾斗はそう呟くと、のっそりと起き上がり上着を羽織ると家を後にした。


 幾斗は1人夕暮れの川べりを、コツコツと歩いていた。いつものように、胸を張ってヤンキー歩きをしていない。まるで、ヒロインの女に捨てられた後の、真っ赤なスーツを着た大怪盗の3代目のように背中を丸めて歩いていた・・・・

 どこか、悲しそうな表情の幾斗は数十分ほど川べりを歩いていたが、川べりの道の交差点の場所で、交差点を横切り、川に背を向けて歩いた。


時折、幾斗は口にたまった唾を地面に吐いては、なにかやりきれない気持ちを抱えているかのように顔をしかめていた。何を考えているのかはわからないが、ただならぬ気持ちを抱えているのは間違えなかった・・・・

 


 歩いて、歩いて、幾斗が行き着いた場所は、小さな囲いに囲まれたお墓だった。その中にある、ひときわ大きな墓の前に幾斗はたたずんだ・・・・


 赤城家と書かれている墓を、幾斗はいつまでも見つめていた。







                             †





   


  「露子たちのお父さんは、とある会社のサラリーマンをやっていました。人柄がよく、優しかったお父さんは、上司にも大変したわれていたんです。当然のようにお父さんは出世しました。お父さんの成績は会社でトップと言っても過言ではなかったからです。そのころ、お父さんには古い友人がいたんです。その友人のことをお父さんは大層、信頼していました。きっとその友人もお父さんのことを信頼してくれていたと思います。

 しかし、お父さんが出世するたびにその友人はお父さんに嫉妬を抱いていたんです。お父さんのことが、死ぬほど妬ましくて、その友人は・・・お父さんを、殺したんです。ちょうど、今日の今頃です。私の家では、お兄ちゃんのための誕生日パーティーが開かれました。その時、その友人も家に来たんです。 よくやるじゃないですか、ケーキの上のロウソクの火を電気を消して暗くしてから吹き消すっていうのが・・・・その時もやったんですよ・・・お父さんが電気を消して、お兄ちゃんがロウソクの火を消そうとした瞬間、幸せが膨らむ瞬間・・・・その友人は、ロウソクになにかわからないけど、ガスか何かを吹きかけたんです。家中に、火が回り・・・・幸せな家庭は吹き飛びました・・・・・お父さんは、私とお兄ちゃんとお母さん、そして自分を殺そうとした友人までを外に逃がしたために、逃げ遅れて死んでしまいました・・・・・。


  だから、お兄ちゃんは・・・・お兄ちゃんは・・・自分の誕生日が大嫌いなんですよ。露子は小さかったからあんまり知らないけど・・・・お兄ちゃんはもう、結構大きかったので・・・・たしか、小学5年生の頃です。お兄ちゃんは、誕生日になるといつもその時のこと思い出してて・・・」


 露子は、幾斗の過去を簡潔に雛菊に伝えた。

 雛菊は深く後悔した、なんにも事情をしらなかったくせに、幾斗にあんなことを言ってしまったのだから。


    幾斗くんに謝らなくちゃ・・・・


そう思ったら、もうすでに雛菊は安曇の家を飛び出ていた。雛菊が急に飛び出していってしまったので、武藤や安曇、龍子たちは驚いて雛菊を呼ぶ


  「山内さんぁーん

 「かいちょーさーん

 「ひなぎく・・・・さ・・・ん・・・ひ・・・


   遠くのほうでみんなが雛菊の名前を呼んでいた・・・・。でも、雛菊は振り向かない。


ものすごいスピードで走っていってしまった雛菊を、龍子は見送りながら

 

 「さすが、お兄ちゃんが必死になる女の子だなぁ」


そう呟いて、いつまでも雛菊の背中を見送った.......





  

   幾斗くん、どこにいるだろう?家にいるかなぁ?


 雛菊は、走った。自慢の足で走った。  はやく、幾斗にあいたくて・・・・はやく幾斗にあって、謝りたくて・・・


 午後10時の街中を女子高生が全力疾走していた。



 そして、幾斗の家があるマンションの階段を駆け上がり、幾斗の家のベルを鳴らす・・・・が 応答がない。


 「幾斗くん・・・私だよ、雛菊だよ。お願い。いるんだったら開けて」


ドアをノックしながら、雛菊は幾斗を呼んだが、出てこない・・・・


 そんなことを続けていたが、なにも食べてない上に走った後なので体が疲れきっていて、雛菊はドアの前にペタリと座り込んでしまった。



  

     数十分という時が流れた・・・・・雛菊はドアの横にちょこんと座って、膝に顔をうずくめていた。眠さと空腹が雛菊を襲った。


 そこへ 


 「う?え?雛菊?」

 午後11時、幾斗はやっと、家に帰宅したのだった。

 「あ・・い・・・幾斗くん。そ・・・その....

雛菊がしゃべろうとしたら

 「とりあえず、家中はいれよ・・・・」

そう言って、幾斗は雛菊を招き入れるとコタツにすすめた。


 10月にしては、今日は冷えた日だった・・・・・


 「あ・・・の・・幾斗くん、露子ちゃんから・・・話きいて・・・今日は、学校であんなこと言って・・・・ごめん」

 雛菊は頭を下げた・・・すると

 「あぁ・・・俺こそワリィ。ちょっとイライラしてたからさ。」



  そう幾斗が言い終わると、2人の間に沈黙の時間が流れた。コタツのファンの回転音だけが鳴り響く・・・・


雛菊は、プレゼントを渡す事を思い出し、渡そうとするが・・・・・どう渡せばいいのか・・・


 なんかイロイロ考えたのになぁ、ツンデレじゃなくて、冷たいやつじゃなくて・・・・えっと、その


脳内が混乱していた、心臓の心拍数が速くなり、手が震えてきた・・・・・

 

  私・・・緊張してる?


 「あ・・あの幾斗くん・・・その・・・・」

幾斗は、「なに?」と答え雛菊をみつめていた。


 

 混乱した頭で雛菊は言ってしまった。


 「こ・・・これ、プレゼントのネックレス。幾斗くん、このネックレスを私だと思って、つ・け・て」


 


 チーン



 一瞬、世界の空気が凍った気がした。雛菊は我に返って自分の言ってしまったことを考え、体から蒸気が上がりそうなほど恥ずかしくなった。


 「なぁっぁぁぁあなはっははははっはははっはははっははははっはあ」

幾斗は大爆笑!

 「おいおい、雛菊。冗談ウマスギ!!わぁぁっぁはははっはは」


        まぁ、冗談で片付けられた・・・・幾斗は思いっきり笑った後・・・・雛菊と冷凍食品の夕飯を食べてコタツで横になった。



 電気を消して、暗闇の中、幾斗の声がした。


 「なぁ、雛菊。俺の親父さぁ、この日に死んだんだ・・・・」

 「うん・・・・」

雛菊は、どんな声をかけてあげればいいかわからなかった。

 声に詰まった雛菊に幾斗は

 「親父さぁ、死ぬ時、自分を殺した男まで助けて死んだんだ・・・・その時親父、なんて言って死んでいったと思う?」

暗いから、幾斗の表情はみえない。悲しそうな顔をしてるのかな?苦しそうな顔をしてるのかなぁ?

 雛菊は、みえない幾斗の表情を思い浮かべた。そして、心配になった。すると

 「親父のやつ、炎の中で俺に  俺って、ヒーロみたいじゃねぇーか?幾斗?わあっはっつはっつはっつはぁー って言って、笑いながら死んでいきやがったよ。」

そして、やけに楽しそうな口調で、

 「変な、親父だろ?でも、自慢の親父なんだ」

 「うん・・・」



 せまいコタツ・・・雛菊は幾斗の背中にしがみついた。今だけは、コタツのぬくもりと、闇で幾斗との密着を許してくれる。


 優しい、シャンプーの香りが幾斗からする・・・。柔らかい臭いと、幾斗の体温を感じながら雛菊は幾斗にしがみついたままスヤスヤと眠ってしまった。


 


 


      親父、俺の守るべきものは、こいつかもしれねぇーや。




   星だか、空だか、幽霊だかになった親父、今の俺をみてるか?めちゃめちゃうらやましいだろう?






幾斗はそう父に心の中で報告すると・・・・クスっと笑って、雛菊の寝言を聞きながら眠りについた・・・・






 












  「たっだいまぁーお兄ちゃん、昨日龍子ちゃんの家に泊まって来たから〜」

そう言いながら、妹、露子が帰ってきた。そして、リビングに入る

  「お兄ちゃん?」

露子がみたのは、コタツで雛菊と抱き合って寝る実の兄であった。


  「あっ・・・露子・・・・」


  「ご・・・・ごゆっくりぃ!!!!!!!!!」


 妹は、焦って立ち去った。








     これ、やべぇんじゃねーのか?



       

いやぁ〜書くの大変でした。次回は、安曇の物語になるかも? コメント、感想ください。あと、好きなキャラ教えてください。


 キャラ人気投票所でございます。みなさん、ご協力お願いします。


 http://vote2.ziyu.net/html/netto.html

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