第18話:番外編2、オタクとギャルのラブストーリー
ふふふ
屋上での昼ご飯。僕、佐山友一は不良少年2人と弁当を食べていた。
今日はなぜか女子2人はいない・…たぶん生徒会の仕事か何かでいそがしいのだろう。少し前の僕ならこの2人をものすごくこわがっていた…でも最近気を許してる気がする。
引きこもりだった僕を、初対面のぼくを急に誘ってくれたような人たちだ…悪い人じゃないんだろうなぁ・…
そこで、思い切って聞いてみた。
「あの、赤城さん。」
そう呼びかけると、幾斗は友一に顔を向け、動かしていた箸をとめた。
「赤城さんはどうやって会長さんと恋人どうしになったんですか?」
その質問で幾斗は口の中でモグモグと食べていたおかずを吹き出してしまった。そして、少し赤い顔をしながら。
「はぁぁぁ?」
と返答した。友一はとまどいながらもう一度質問する。
「俺は!と…とくに雛菊との関係ねぇぜ?」
「えっ?そうなんですか?ぼくはてっきり付き合ってるのかと・・…」
「んなわけねぇーだろがっぁぁぁ!あんな美人で優秀で完璧天才少女と、俺みてぇーなダサイ、貧乏不良が付き合えるわけねぇだろうがっぁぁぁぁぁ?」
怒ってるのか照れてるのかわからないような幾斗の顔をみながら。
「す…すみませぇ〜ん」
と謝る友一。
そんな2人の会話に武藤が首を突っ込んだ。
「まぁまぁ、ユーチくん。恋の相談なら僕がのりますよ」
ニコやかスマイルで友一に武藤が話し掛けた。
「じゃ…じゃあお願いします。」
恋では、友一や幾斗より1歩大人な武藤が友一の恋について聞いた。
友一は、助けたギャルの事、そのギャルに惚れてしまったことなどを実に正直に打ち明けた・・…
「おめぇーよく頑張ったな。」
幾斗が感心の声をあげる。そりゃあ、たくさんの不良相手に元引きこもりがケンカを売ったのだ…武藤も幾斗もおどろいた。そんな根性座ってるのは、筋金入り不良と、その舎弟と、誇り高い生徒会長様と、友一ぐらいだろう…
みなさんならやりますか?おっかない不良十数人にケンカを売るなんてこと…(注:作者ならやりますが、みなさんは危ないのでやめた方がいいかと・…)
「ぼくも感心です。あなたは優しいのですね。」
「そこまでできるんだったら、告白なんて余裕だな〜」
幾斗が友一にそう言うと、友一は顔を真っ赤にして
「直接は…ちょっと…無理です…」
不良2人は大きなため息をつくと、
「じゃあ、手紙でどうですか?手紙なら面とむかって言わなくていいじゃないですか?」
武藤の提案で、友一はラブレターを書くことになったのであった…
「あ・・あの内容はどんなのがいいですかねぇ?」
そんな友一の素朴な質問に…幾斗は
「うーん。こんなのでどうだ? 好きです。付き合ってください。 」
と答えた
それ、シンプルすぎ・…
「じゃあこんなのでどうですか?」
次に、武藤が口を開いた。
「 I want you. I need you. I love you. by Yu-ti. 」
武藤の提案に友一も幾斗も唖然としてしまった…
キモすぎだろ?それ・・ てか、外国人かぁ?
「じゃ…こ・・こんなのどうだ......
そうして2人の不良に手伝ってもらって・…結局は自分でラブレターの内容を決めた。(つまり、不良2人はあんまり役に立ってないという事…)
出来上がったラブレターをもう一度読み直す。
よし、完璧だ! そして友一のラブレター大作戦(大乱闘とも言う…)がはじまったのだ…
時は放課後、安曇の情報だと彼女、山中美貴は放課後必ず音楽室でピアノを弾いて帰るそうだ…
つまり、音楽室に居るって事…
友一は,胸を高鳴らせながら音楽室にむかった…
音楽室に近づくたびに、バッハの曲らしきピアノの曲が流れてくる…
音楽室までもうすぐ!そう思い、足取りが速くなった。
そして、音楽室まで残り10mを切ったところぐらいでピアノの曲が急に止まった・…ゴトンという鈍い音がする…友一は焦った…なにがどうなっているのか?なにかあったんじゃないだろうか?
いそいで、音楽室の中へ飛び込むと中で美貴が前回、美貴を絡んでいた不良たちに暴行を加えられていた。仕返しなのだろう・…不良達はなにげない顔で、美貴を攻撃していた。徹底的なのがこいつらだ!
不良たちは最初は気付かなかったものの、数秒ほどボー然と立ち尽くしている友一を見て、
「おいおい、カモがねぎしょってやってきたぜ」
と友一のほうを振り向いた。が、友一はまったくビビってはいなかった…むしろ、怒ってる。
最愛の人が目の前で倒れているのだ、そんな酷いことするやつを許しておくようなやつじゃなかった…
キレた友一は不良たちにきつい睨みを利かせたために不良たちも友一に攻撃態勢を取りはじめた。
しかし、不良達が攻撃するのよりワンテンポ早く、友一は1人の不良を殴り倒していた。
「彼女に手をだすなぁ!!!」
続いて、2人目に飛び蹴りを食らわせた。引きこもりとは思えない動きである…
しかし、3人目にいこうと身構えた瞬間に顔面に強烈なパンチを食らった。
不良たちのリーダは、友一が先ほどのパンチでよろめいている隙に回し蹴りを友一に与えた…
派手な音をたてながら、友一は床に倒れた。
不良達は友一をぐるりと囲むと、
「かっこつけてんじゃねぇーよ!オタク野郎!」
ゲラゲラ笑いながら、不良達は友一に蹴りを食らわしまくった。
ドカ グキ ドス バッス
音楽室中に鈍い音が響き渡る・・・・・
友一は痛みでなにも感じなくなっていた・・・
もう、終わりか・・・ そう諦めようとした瞬間、美貴が不良達に
「いい加減にしろや!あんたらの相手はアタシだろ?かかってこいよ!」
と言い放った、不良達は
「そうだったなぁ〜」
と、言いながら友一から離れ美貴に近寄っていった・・・美貴は後ずさりしながら不良達が近づいてくるのを眺めていた。
「やめろぉ!」
友一は血だらけの身体で、美貴の前に立ちふさがった・・・
「おいおい、クイーンを護る、ナイト様だぜ?」
そういいながら。不良達は友一に近寄っていった・・・・。
「バーカ」
そう言うと、不良はこぶしを振り上げた。友一は恐れもないかのように瞬きすらしない、ただ不良を睨みつけ、美貴の前に立ちふさがっているだけだった。
ゴーコーン
派手に鈍い音がした。友一も、不良達も、美貴も一瞬思考が停止してしまった・・・
な・・・なんだ?友一が自分を見る、
殴られてない・・・・
次に不良をみると、壁に頭を打って苦しそうにもがいていた。
そして、その横で金色の髪を揺らしている男がいた・・・
武藤さん・・・・
遅れて、もう1人登場した・・・・
赤城さん・・・・
「よぉ!大丈夫か?」
幾斗が友一に問うがすぐ訂正して
「大丈夫じゃなさそうだな・・・」
と言った・・・・
幾斗と武藤は数人の不良を2分で始末すると、美貴と友一を保健室に連れて行った。
保健室まで来ると、武藤と幾斗は帰ってしまった・・・・
しばらく沈黙が続く、保健室には先生がいないようなので、美貴の手当てを友一がしてあげた・・・・
美貴は、自分より傷が多い友一を眺めながら・・・
「な・・・なんで。なんで助けてくれたんだ?首、つっこまなかったら、こんなことにならなかったのに」
自分のせいで怪我をした友一をみながら美貴は心配そうに言った。
友一は思った・・・チャンスだと、手紙を渡す・・・チャンスだと・・・
無雑作にポケットに手を突っ込むと、手紙を持った・・・しかし、持ち上げようとした手紙を友一は持ち上げなかった・・・
「山中美貴さん。ぼくは、あなたに始めてあったときに一目ぼれしてしまいました。だから、だから。」
美貴は友一を拒否する姿勢なんかちっとも見せず、ただただ友一を見つめていた。
「そんな、好きな人が・・・あなたが目の前でやられている姿なんか、みたくなかったんです。山中さん、ぼくは頼りないですが、必死であなたを守っていく覚悟です。だから、ぼくと付き合ってください。」
言った瞬間、ポケットの中の手紙を握りつぶしていた・・・・
風がヒュ〜と通った・・・(シケタわけではありません・・・)
やわらかい、秋の風が・・・・2人は少しの間、みつめあっていたが、美貴がクスッと笑うと
「必死で守ってくれよ、ナイトさん」
そう美貴は呟いた・・・・
その後の話だが・・・・
みごとにカップル樹立をはたした友一は幾斗と武藤に深くお礼を言った。
美貴は実は1年B組の2班だったので、席替えの時、6班に移ってきた。(席替えは自由、ついでに美貴は幾斗の隣になった・・・・)
屋上で弁当を食べる仲間がまた増えたが、誰1人嫌がる人はいない。
逆に嬉しがってるのが現状だ・・・・
「ねぇ、赤城さん。なんで、あの時助けてくれたんですか?」
友一は幾斗に質問した・・・・すると、幾斗は
「お前は、俺の友達で俺らは仲間だろ?仲間たすけねぇ奴がどこにいんだよ!」
その言葉で、友一は完璧に幾斗たちの仲間に入ったのだった・・・・・
ぼくは幸せもものだ・・・・・。あなた方がいて、本当に良かった。
友一は心の中で、幾斗たちに感謝の言葉を述べた・・・・・
いやぁ・・・やっぱ疲れました。新キャラの登場ってあんがい難しいです・・・。
次回から、雛菊が主人公にもどります。武藤、安曇、幾斗、雛菊、そして新キャラの美貴と友一を加えた、学園ラブコメに・・・・もどります。
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