小野寺陸 4
「で、人が物思いに耽ってる間に、何お前はそんなに呑んでんだよ……」
気付けば隣で村上は、すっかり仕上がってテーブルに突っ伏していた。 こいつはこのあとが怖い。 覚醒する前に家に送り届けようと伝票を手にした。
店を出てまだ電車はある時間だったがこの酔っぱらいをつれては乗れない。 車通りの多い道まで村上を担いでいくとタクシーを止めた。
「桜が丘まで」
村上の家と陸が借りているマンションは近い場所にあり、呑みの後は彼女を送ってから帰るパターンが出来上がっている。 村上は実家なので後は家族にお任せできる。 彼女は陸がゲイであることを知っているのですっかり安心して潰れているのだ。 タチが悪い。
「夜分に恐れ入ります。時雨デザインオフィスの小野寺です」
「あらあ、またやっちゃったの?」
「性懲りもなく呑ませてしまいました。申し訳ありません……」
「いいのよ、この子が勝手に呑んでんだから。ほら、起きなさい!小野寺さんにご迷惑でしょう!」
「んん…………大福食べたい……」
「何言ってんの?あんたアンコ嫌いでしょ!あ、小野寺さん、もう大丈夫ですよ。そこに転がしていってください。お茶でもいかがですか?」
「いえ、こんな時間ですのでおれはここで」
お休みなさい、と村上家をあとにした。 村上の酒癖の悪さは家族公認だ。 初めて彼女を家まで送っていったのはまだ会社勤めの頃だったが、その時すでに泥酔した娘にたいした驚きもなく母親が担いで寝室につれていった。
その後父親に捕まって夜も遅いと言うのに呑み直しをさせられた。 何か勘違いされていなければいいがと危惧していたが「あんたが男が好きだって上司さんだろっ!」と、高らかに指摘され凍りついた。 何ともおおらかすぎる村上家は今や自分の部屋の次に落ち着く場所になりつつある。
そういえば恋人の福永隆一と近づいたきっかけはその夜に起こった村上の泥酔騒ぎだった。
福永について社内ですでに嫌な噂は聞いていた。 女と見れば見境がないだの、同僚の彼女に手を出して修羅場になっただの。 とんでもない上司がいるもんだと感心さえした。
実際に会った福永は確かに女の子がちょっとときめきそうな容姿をしていた。 身長は180近くあるだろうか。細身で端正な顔立ちをしている。 会議中は少し物憂げに書類に視線を落とし、誰かが発言をするときにも顔は上がらない。 聞いてないのかと燻かしんでいたら、急に眼鏡の奥から鋭い視線を飛ばし質問を投げ掛けてきたりする。
そして緊迫した会議が終わればふわんとした笑顔で女の子達に微笑みかけるのだ。
「さっきの会議さ、ちょっと険悪だったよね?部長もあんなに偉そうにしてなくてもいいのにね?それでさ僕たちだけで親睦会やらない。ほら、こういうのはコミュニケーションって大事だからさ」
その『僕たちだけの親睦会』に、何故か陸は参加していた。 厳密には陸が誘われたわけではない。 同じ部署にいた村上が今回ブックデザインの担当アシスタントという形で参加することになり彼女が誘われたのだ。 村上は「誰でも連れておいで」という言葉を真に受け陸をお供にした。 案の定、会場になった高級居酒屋は福永を座長に女ばかり7人。 陸は居心地悪くテーブルの端の方に座った。福永から一番遠い位置だ。
福永は願わくばこの中の誰かを持ち帰ろうとしていたのかもしれない。 しかし飲み会半ばにして事故が起こった。 酔った村上が女子トイレに籠城したのだ。
個室のドアを閉め、どうやら中で眠っているらしい。 他の客から指摘された店員が一つづつグループを尋ね、陸たちの部屋にたどり着いたというわけだ。
とりあえず女の子を一人連れて禁断の女子トイレに陸は足を踏み入れた。 椅子を借りて女の子に中を確認してもらい様子をうかがう。
「えっと……下着は上がってます。で、便器に後ろ向きに座って、タンクを枕に寝てるみたいです……」
「マジで?」
「マジで」
取り合えず嫁入り前の女性の下半身露出を目撃する危険は回避した(興味はないが)陸は、先程の椅子を使って上から中に侵入した。
「……うわあ、ぐったりだ……悪いんだけど福永さんも呼んできていただけますか。あとタクシー一台手配してください」
陸は鍵を開けドアを開け放った。 外では店員が心配そうに見ている。汚したりしていないか気になるのだろう。
「吐いてはいません。ただ、申し訳ないんですけどビニール袋分けていただいてもいいですか?車で帰すのに怖いんで」
店員はささっとその場からいなくなった。 入れ替わりで福永が様子を見に来てくれた。
「大丈夫?ずいぶん呑んじゃってたんだねー。気づかなかった」
「申し訳ないんですが、こいつ連れて帰りますから車まで運ぶの手伝っていただけませんか?」
「うん、いいよ。今、荷物持ってくるから」
他の女子社員が陸と村上の荷物を持ち、男二人で村上の両側から持ち上げるように抱えた。 トイレから出て数メートル歩くと急に彼女がシャキッと立ち上がった。
「も、平気でっす。歩けまっす!」
陸と福永は、それならよかったと手を離した。 すたすたと歩き始めた村上は、個室になっている宴会スペースの前で立ち止まる。 そして
「きえええええええええええっっっっっ!」
おもむろに奇声を発したと思ったそばから正拳突きが始まった。 その、個室の障子に向かって。
慌てた陸が村上を後ろから羽交い締めにしたが時すでに遅し。 障子紙には無惨な大穴が複数開いており、中で宴会をしている人たちがあっけにとられてこちらを見ていた。 目があってしまいいたたまれない。 陸の酔いはすっかり覚めてしまった。
「す……すみません!本当に……ああっ!もう、どうしよう……!」
陸はすっかり動転していたが暴れる村上を逃がさないように手足を踏ん張ることは止めなかった。
「ちょっと今日はこんななので、僕らは帰りますが改めてお詫びにうかがいますので。弁償は必ずします。これ、金額出たら連絡ください。」
福永はスマートに名刺を店員に手渡すと、暴れる村上と陸、荷物を持った女子社員と共にエレベーターに乗り込んだ。
すでにタクシーはビルの入り口に待機していた。 夜風に吹かれたとたん村上はがくりと力が抜けて陸もろともコンクリートに沈んだ。
「うわあ、ちょっとしっかり?」
福永が村上を肩に担ぎ、先に乗るように陸に促した。 村上を押し込むと荷物をもってくれていた女子社員に紙幣を数枚渡した。
「これで払っといて?足りなかったらごめんね」
そして当たり前のように最後に乗り込んできた。
「え、ここまでで大丈夫ですよ?こいつ実家なんで下ろすときは家族に手伝ってもらえますし」
「いいのいいの。向こうにいるよりこっちの方が面白そうだし」
そんなに村上がタイプだったんだろうか? こんなに泥酔していては何もできないだろうし、あ、もしかしての介抱したっていうことをあとで切り札に使うつもりだろうか?
それでも男手が多い方が無理なくこの大荷物を運搬できるかと陸も座席に落ち着いた。
「しっかし、この子いつもこうなの?」
「……いえ、今までは猫被ってたんでしょうか。こんなの初めてで……すみません、ご迷惑お掛けして」
「いいえー。頑張ってる君、可愛かったし。儲かった」
「か……」
可愛いって。 二十歳も越えた男に使う言葉だろうか?まさかお仲間かと思ったが、社内での破天荒な噂を聞いたばかりだ。 陸は赤くなる耳を押さえ、車窓へ目を向けた。
「その髪、染めてんの?ほんとはどんな色?」
「え、わかりますか?」
「うん。そんな不自然に真っ黒ってないよねー?それにちょっと根本がのぞいてる」
忙しさにかまけて忘れていた。 コンビニに寄ってヘアカラー買って帰ろう、陸が目線を前に向けた途端、うなじから上に向かって髪を鋤かれた。
「わっ……」
「カワイー反応。くすぐったいの?」
「そっ……急に触られたら誰だってビックリしますよ!」
「染めたりしなきゃいいのに。きっと、いまよりずっときれいだ」
「んなっ……!」
隣を見れば村上の頭越しに福永がにやにやとこっちを見ている。 なんだ、こいつ。
「ほくろー、色っぽいね?」
「え、ああ……これですか」
「うん、すごくいい」
「……おれはあんまり好きじゃなくて」
陸は目元に手をやる。 学生の頃もよくからかわれた、泣いているみたいだと。 左の目尻から下に向かって続く三つのほくろ。 陸の抱えるコンプレックスのなかでは小さい方だが、やっぱり気になる。
反発するように勢いよく窓の方を向きそのまま会話もせずに村上の家までついた。 陸の家は徒歩圏内だからそのまま帰ればいい。
「おれはここで降ります。ここまでの分はこれで」
ちらっと見たメーターの金額を福永に押し付けた。
「いいのに。それより、お茶でもどうですか、とか言ってくんないの?」
「ごめんなさい、うちすごい汚部屋なので」
「ふーん、ま、いっか。じゃあ、おやすみ。気を付けて帰ってね?」
「……おやすみなさい。お疲れさまでした」
走り去るタクシーのテールランプを見ていたら、目が回った。 急に酔いが来たのだろうか。 それとも。
「げふぅ……気持ちわるう……」
「わ、ちょっと待って!」
慌てて彼女を背負い、村上家の呼び鈴をならす。 家長に爆弾を落とされるまで約5分。
翌日、村上を連れて福永のいる編集部を訪ねた。 陸の勤める雨宮書房は中堅の出版社だ。 週刊誌の発行はないため割りと穏やかな社風だと思う。
同じ会社でありながら編集部に足を踏み入れることはあまりない。 編集の人間と会うのは会議室ばかりだったからだ。 雑多な雰囲気の机の間を抜け目当ての人物を見つけた。
どちらかと言えば華やかさに欠ける編集部の面子の中にあって福永は浮いていた。 作家の先生たちに失礼のないようにとの配慮だとは思うが、皆一様にダークなスーツを着て乱れのない髪型をしている。 そこへきて福永は、いつもきれいな色のセーターとかシャツを着て、変わった形のフレームの眼鏡をかけていた。 ゆるりとウエーブのかかった髪は今日は耳にかかっている。
「福永さん」
陸が声をかけると編集中の原稿だろうか、紙の束から顔をあげる。
「ああ……おはよう。昨日はお疲れ様」
「夕べはご迷惑お掛けして申し訳ありませんでした!!」
「村上くんだっけ?小野寺くんのほうが大変だったと思うからよく謝っといて。俺は何にもしてないから」
「それで、お店の人に福永さんの名刺しか渡してないですから弁償の請求が来たら教えてください。こちらでお支払しますので」
頭を下げたまま小さくなっている村上の代わりに陸が弁償を申し出た。 福永は小さくククク、と笑った。
「いいよ、たぶんたいした額じゃない。一応座長だったのに村上くんの体調にも気づけなかったし。また遊んでくれればそれでいいよ」
「そういうわけには……」
「んー……じゃあ、小野寺くんのアドレス教えて?あんまり高額だったら助けてもらうかもしれないから」
「……わかりました」
陸は自分の名刺の裏に、プライベートのアドレスを書き付けて福永に渡した。
「小野寺さん、すいませんでした」
「ほんとだよ。村上っていつもあんななの?」
「はい、お恥ずかしながら一定量超えると記憶がなくなって異常行動が見られるようで……」
「異常行動……?」
恥ずかしそうにモジモジと村上が言い出したが続く告白は決して可愛らしいものではなかった。
「学生の時は房総半島の先っちょと警視庁の前で目覚めたことがあります。えと、一回づつですけど。港だったのでカモメにつつかれて目覚めて、警視庁は職質うけました」
「当たり前だ」
「それと、ソフトクリームと飲み屋の看板を持って帰ったこともあります。父親が慌てて返しにいってくれたんで事なきを得ました」
「得てねえ」
「それと、同級生を乱打したことがあるそうです。口も聞いてくれなくなったので、謝罪は出来ませんでしたが」
「お前しばらく禁酒」
「ええええええー!」
「えーじゃねえ」
そんな危険なやつとは知らなかった。 飲まなきゃいけないときには大石を必ず連れていこうと誓った陸だった。
数日後、福永からメールが来た。
『請求来たよ。話もあるから飲みに行かない?村上くん抜きで』
断るわけにはいかない。
仕事が終わった陸は指定された店に一人で訪れた。3 0分ほど遅れて福永がやって来た。
「お疲れ様です……って、雨ですか?」
福永のグレーのジャケットはうっすらと濡れていた。
「うん、店にはいる寸前に降りだして。叩いては来たんだけどまだ濡れてる?」
陸はハンカチを差し出した。 受け取った福永は腕や肩を拭っていく。
「あの……髪も」
「ん?どこ、この辺?」
「もうちょっと……あ、おれが」
陸は福永からハンカチを取り、髪や後ろの肩を拭いてやった。 雨の匂いに混じって福永の香りがする。控えめにつけたトワレに好感を持った。
「小野寺くんは気が利くよね」
「そんなことは……」
「この間だって、村上くんや他の女の子への気遣いが半端なくて、僕、すっかり引き立て役だったもんなー」
「まさか!皆さん福永さんが帰るって言ったときがっかりしてらしたじゃないですか!おれ、申し訳なく思ってたんですから」
「みんな、僕のことなんてちょっといい財布くらいにしか思ってないよ」
「そんな……」
福永が少し寂しそうな顔をしたからそれ以上言葉が繋がらなかった。 派手な噂が流れているこの人は、本当は誤解されやすい人なのかもしれない。
店内はほどよく賑わっていて福永が選んだつまみもどれもボリュームがあってうまかった。 先日の懇親会まで話をしたこともなかった福永だったが、話題には事欠かなくあまり社交的ではない陸も沈黙に困ることはなかった。
福永が陸より6歳年上の34歳であること、1年前に今の上司に誘われて雨宮に移ってきたこと、恋人はいないこと。 病弱な両親と同居しているから結婚なんて考えられないこと。
編集に関わる仕事の話は陸のそれとは被ることがなく興味深かった。 困った作家の話に笑い、原稿をもぎ取る苦労に他人事ながら胃が痛くなる思いをした。
隣のテーブルに若い会社員のグループが収まって、俄然賑やかになってきた。 二人は四角いテーブルのはす向かいに座っていたが段々会話も困難になってきた。
「賑やかですね。いつもここ、こんなに流行るんですか?」
何となく福永のイメージとは違った。こんなガヤガヤとした店を好むようには思えなかった。
「ん?なに」
頬杖をついたまま耳を体ごと陸の方へ寄せてくる。そこで少しだけ大きい声で陸も話した。
「いつもここ、こんなに賑やかなんですか?」
「ああ、うん。うるさいんだけど酒もつまみも旨いから、ついね。気になる子とこんなに近くで話せるし」
ぎょっとして姿勢を正し、福永を見た。 彼は腕で顎を支えたまま陸を見ていた。
「え……っと、この間もそんなようなこと仰ってましたけど、福永さんってそっちの人じゃないですよね?」
「そっちの人って?」
「ゲイ、とかそういう」
陸としては避けたい話題ではあるのだが、こうも露骨に探りをいれるようなことばかり言われてはいつかバレてしまいそうだ。 早く否定しなければと思うが、前のめりになっても怪しい。
「んー、僕はあんまりこだわんないほうかな?かわいいなーって思えばどっちでもいい。」
「かわっ……おれはそんな気ないですから。勘違いさせるようなこと言わない方がいいですよ」
「勘違いじゃないよ。僕は君が気になってて、君のこともっと知りたくて今日誘ったの。出来れば付き合いなって思ってるよ?」
「え……」
恐る恐る見た福永の顔は、見たことのない真剣な顔だった。 驚いた。 この人は、陸が今まで悩んでひた隠しにして来たことをこうもあっさり口にした。 同性が、恋愛対象だなんて。
「男同士はさ、結婚だの子供だのって目に見える約束はないけどさ、会社での辛いこととか悩みとかって似てるでしょ。だから理解しやすいし、支えになると思うんだよね。決まった人がいないなら、僕と付き合ってみない。結構大事にするよ?」
「おれ……なんかのどこが……」
「なんかって嫌いだなー。小野寺くんの仕事は社内でも有名だったからどんな人なんだろうなーって興味があったんだ。そしたらこんなにかわいい子で。それなのにほんとの自分は隠してる。どんな秘密があるのかな、俺に話してくれないかなって。そう思ったらいてもたってもいられなくなった。」
「福永さん……」
正直、恋愛の感情を同性に向けられたのは初めてだった。女の子からは何度か告白されたことがある。 高校のときは好きな人がいると言って断り大学のときは地元に彼女がいると切り抜けてきた。 それでも、一人で寂しくてどうしようもないとき、同じ指向の人たちが集まる店に行きその日の相手を探すこともあった。 でも、虚しくて数回でやめた。 陸のことをいいといってくれる人に出会うのは初めてだったのだ。
「どう?僕は小野寺くんのお眼鏡にはかなわない?」
「いえ……その……」
「いいよ?何でも言って」
「……福永さんはモテるって聞いてたから、わざわざ同じ社のましてや男にそんなこと言わなくても……相手なんていくらでもいるでしょう?」
「どんな話聞いたのか知らないけど……この人素敵だなって思ったらもっと知りたくなる。今、小野寺くんに言ったみたいに。で、違ったな、って思ったらなるべく早く伝えるようにしてる、お互いのためだから。その事をみんな、尾ひれつけて話してるんだろう。誠実に向き合ってるつもりなんだけどな……」
「すみません……」
噂を聞いたままぶつけられては本人も切ないだろう。 申し訳なく思い陸は謝った。
「いいよ。小野寺くんは、女の子しかダメな人?」
「あ、あの、いえ……」
陸にとって知人に対するカミングアウトは遼太郎にした曖昧なあの一回だけだ。 福永が手の内を明かしても、やすやすと出来るものでもない。 ただ、肯定も否定もしないということは
「男だけ?」
「……」
肯定したことと同じである。
「小野寺くんだってすべての男を色っぽい目で見てる訳じゃないでしょ?たまたまアンテナに引っ掛かった人だけが気になるわけだ。僕だって全人類をそういう目で見てる訳じゃないの。小野寺くんが、引っ掛かってきたんだよ。それって同じ会社かとか男か女かなんてそうならないとわからない。運命みたいなものなんだ。違う?」
そうだ。 運命何ておおげさだけど、出会う前にその人が今後自分にどういう影響を与える人かなんてわからない。 出会って友情を築くかもしれない、恋をするかもしれない。 尊敬して、なにかを学ぶかもしれない。人が出会うことはなにかを動かすことなのだ。
「どう思う?」
陸の心も、今動いた。
あれからずっと遼太郎を忘れられなかった。 遠い、たった6年だけのふるさととしっかり繋がった思いだった。 でも、伯父たちと過ごした家ももうない。 二人も死んでしまった。 誰とも繋がらず一人で生きてきた生活がここで動こうとしている。
「……よろしくお願いします」
遊びに来てくださってありがとうございます。
明日も22時頃更新予定です。
どうぞよろしくお願いいたします!
うえの