第四話 古の国でのカウントダウン 残り二十四時間
残り二十四時間
木工細工屋(各種おみやげあります)と、かかれた店先に一人の女性がやってきた。
もちろんこんな夜中に営業しているわけもなく、店の明かりは二階の家屋部分だけからもれていた。
女はそれを確認すると一度あたりに視線を走らせ、誰もいないことを確認すると、ココンコンコン、と何かの合図のように扉を叩いた。
しばらくすると内鍵の開けられる音がして扉がゆっくりと開いた。
中から顔を覗かせたのは老人の男性だった。
老人は女の顔を見て、笑顔を浮かべて迎えいれた。
「こんな時間に誰かと思えば、サニエ様でしたか」
サニエは優しい笑顔で返した。
「遅い時間に申し訳ありません。近くを通りかかったら灯かりがついていたもので。いよいよ明日だというのにまだ起きていらしたのですか?」
老人はサニエを中に通すと、扉に鍵をかけた。
「実は来客中でしてな。彼らはわしの古い知り合いでして、これからリーダーのところに連れて行こうと思っていたのです」
「おお、そうですか。実はこちらでも新たな勇士が加わりました。ちょうどいい機会です。彼らのことも紹介しておきましょう」
サニエは老人の手を取って喜びを表した。
そのとき、階段の上から声がした。
「誰か来たのですか? ゴーゴリ老」
男の声だった。
サニエはその声を知っていた。
哀しい運命に翻弄されている男。そして、これから先はさらなる過酷な流れにもてあそばれる男。
決して抗えない運命に苦しむこととなる戦士。
「やはり、ここへ寄りましたか、ローランドさん。まあ、来ない訳がないとは思っていました」
「お前は――」
サニエは階段をおりてきたローランドの顔を見て、笑顔で会釈した。
つづく




