男女共学のバイビー83
再度言いますがら加奈さんは雅会長に会えないと思いますと、ヒロは言った。
ヒロが続ける。
「そして加奈さんはこの異相時空間で、我々が住んでいた三次元空間とは隔絶され、パズルの集団自殺の組み込みの下自分と心中するのが宿命なのです。自分はそう思います」
加奈が論駁する。
「何故そうなるのよ。君の最愛の人は雅会長じゃない。そんなの余りにも理不尽じゃない!」
詰られてもヒロは冷静沈着な態度を崩そうとはしない。
「三次元世界の不条理こそが理不尽なパズルの集団自殺そのものの条理なのではありませんか?」
崩壊寸前の自分の心が壊れるのを防ぐ為に、加奈が抗いひたすら抵抗する。
「何故そうなるのよ、おかしいじゃない、教えてよ?!」
ヒロがおもむろに答える。
「そのコマがパズルの集団自殺の増殖を加速度的に早めるコマなのですよ、きっと」
加奈が絶句して話さないのを見て取りヒロが続ける。
「そして加奈さんはこの別荘から出ても、雅会長には会えないと思います」
加奈が訝る。
「何故、雅会長だってこのパズルの集団自殺の不条理に翻弄されている、言わば同族仲間じゃない。それなのに何故会えないのよ?!」
伏し目がちにヒロが答える。
「再度言いますが、加奈さんはこの異相時空間に手続きを踏襲し入って、既に三次元に於ける実体を肉体もろとも失っているのですよ。ですが雅会長は心だけを異相時空間に乗っ取られていて肉体は元のままならば、異なる次元は相互遮断隔絶されている定理に則り、お互い干渉は出来ないではありませんか?」
「どうしてそうなるのよ?!」
ヒロが明解に答える。
「雅会長は手続きを踏んでこの別荘に入ってはいませんから、そうなるのです」




