男女共学のバイビー81
加奈が泣き出した。
身震いしながら加奈が言う。
「悪魔的な優しい囁くような言葉の羅列の恐さが、言葉の暴力装置となって、私に自殺願望を抱かせ、追い詰めていると言うの?」
ヒロがおもむろに相槌を打ち言った。
「そうですね。極度の優しさは冷たさに繋がり、恐さと言えますから、そんな暴力装置が音もなく増殖し蔓延してパズルの集団自殺を惹起している可能性は高いでしょうね」
本能的な震えを堪え切れず、加奈が奥歯を震わせながら言った。
「君の優しい言葉の羅列が外の濃霧と同じ役割を果たし、私をいたたまれない程不安にさせ、自殺に追い込む装置になっているのね。これと同じような形でパズルの集団自殺は音もなく増殖して行くのね?」
ヒロが頷き答える。
「そうですね。甘く囁くような恐さを伴った偽善的な優しいだけの言葉に、相関関係の無い様々な要素がコマとして加味され、パズルの集団自殺は人の心を騙し唆して、音もなく相手の心を開き、いたたまれない不安を増殖させ、自殺に追い込んでいる可能性はあると思います」
何度も深呼吸して、自分のおののきと震えをを何とか自制してから加奈が言った。
「私は濃霧の中にいるの。ここから逃げられないの。息が苦しいわ。もういたたまれない不安に気が狂いそうなの。助けてお願い?」
覚めた眼差しを加奈に向け、ヒロが言った。
「だから、加奈さん自分と一緒に死にましょう?」
加奈が泣き出し、なりふり構わずソファーに突っ伏してむせび泣き、喚く。
「お母さん、助けて、お母さん、助けて、私はここよ、お母さん!」




