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男女共学のバイビー76

加奈さんは悪あがきをしているに過ぎないと思いますと、ヒロは言った。

ヒロが真っ直ぐに加奈を見ながら言う。





「加奈さん、例えば自分と雅会長が心中したとして、それで加奈さんの自殺願望は抜けるのですか?」




加奈が露骨に渋面を作ってから、静かな口調で答える。





「それも可能性の一つよね。何だってやってみないと分からないじゃない。違うかしら?」




ヒロがきっぱりと言う。





「現実問題それは無理でしょう。通信手段は使えず、こんな夜中だし、外には濃霧が立ち込めていて、雅会長が逗留するホテルに辿り着く前に、いたたまれない不安におののき自殺してしまうのが落ちでしょう。尤もそれを加奈さんがしてくれれば自分としては早く心中に辿り着くから楽と言えば楽なのですが」




加奈が答える。





「当然今すぐに動くわけではないわ。それよりも雅会長やあなたのお兄さんの連絡先を教えてくれないかしら?」




先を読む、そんな目付きをしてからヒロが承諾し、電話をポケットから出してデータを検索テーブルの上に載せ開示した。





それを加奈が自分の電話に取り込んでから言った。




「朝になり、霧が晴れて私がこの別荘から出て、様々な形を取り生還を図っても、私が自殺する事には変わりないと、君は高を括っているのでしょう?」





ヒロが頷きすんなりと肯定した。





「そうですね。加奈さんは悪あがきをしているに過ぎないと思います。でもそれも自分としては愛おしいのですが」

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