男女共学のバイビー75
私はピュアな面など何も無い利己主義剥き出しの性悪女なのよ、それを納得して頂戴と、加奈は言った。
加奈が念を押す。
「この状況の中で君が嘘をついても無駄なのは分かっているわよね。ここまで来たら自分の思いを包み隠さず全部言うのがこの場のルールよ?」
ソファーに深く腰掛け、ヒロが言葉を選びつつ繋ぐように告げる。
「雅会長は歩けません。ですから自分の生死の事を心配して近くのホテルに詰めて、配下の者に指示命令を下している状態だと思います」
納得するように頷き加奈が尋ねる。
「雅会長は君を最も愛している女性だから、もし仮に君の訃報を聞いたら、後を追うわね。間違いなく」
瞬きをせず一点を凝視したまま吹っ切るようにヒロが言った。
「多分」
「ならば君が一人で自殺した後、それを雅会長が追えば、最愛の者同士の心中は完成じゃない。そうでしょう?」
ヒロが首を振り頑なに言う。
「自分の最愛の人はあくまでも加奈さんなのです。ですから、自分は加奈さんと心中する事以外は毛頭考えてはいません。と言うか加奈さんは自分に今すぐにでも自殺したいと言う本心を隠しながら強がって話しをしていますよね。それが自分には堪らなく愛おしく見えるのです。この気持ち分かって下さい、加奈さん。後生だからお願いします」
加奈が拒む。
「私は君の意向に添えるようなピュアな女じゃないし、どんな手を使ってでも、自分の命さえ助かれば良いと思っている利己主義剥き出しの性悪女よ。だからこそ、君を心底愛している雅会長に君を預け自分が助かりたい。それしか考えていないのよ。それを納得して頂戴後生だから」




