男女共学のバイビー66
ヒロとの会話で気を紛らわし、擡げる自殺願望を抑制しながら、突破口を手繰り寄せ、生還の糸口を見出だすしか無いと加奈は考えた。
理屈抜きに擡げて来る自殺願望を一切表情には出さず、トイレに立つと言って加奈は席を外し、ヒロが見守る中トイレに入り、鍵を掛けた。
逃げるつもりは毛頭無い。
便座に座り水を流し、加奈は打開策がないかと思いを馳せる。
追っ手が全く現れないという事実から鑑みて、この騒動の関係者が大同小異パズルの不条理に巻き込まれて、外で相次ぐ自殺をしている事は想像に難くない。
不条理なパズルの集団自殺は関係者の心を狂わせ、理不尽な死に追い込んでいる事は間違いない事実だと思う。
突き上げる自殺願望に心は散り散りとなり、いたたまれない不安と寂しさに発狂しそうな自分がいる。
しかし真逆に何が何でも生き延びたいと願う渇望もあり、その相克と葛藤に心は揺らぐばかりだ。
この自殺願望がある限り、外に出ても状況は変わらないと加奈は判断する。
無理に外に出て、霧の中を歩けば直ぐに犬死にが待っている事も容易く類推出来る。
何か突破口は無いのかと思いを巡らすが、それらしきものは何も無い。
ヒロとの会話で気を紛らわし、擡げる自殺願望を抑制しながら、突破口を手繰り寄せ、生還の糸口を見出だすしか無いと加奈は考えた。




