男女共学のバイビー55
僕らがこの別荘に誰の邪魔もされずに入れたのはあの霧のお陰だと思うのですよと、ヒロは言った。
ヒロが続ける。
「これも仮定論には違いないのですが、僕らがこの別荘に誰の邪魔もされずに入れたのはあの霧のお陰だと思うのですよ」
加奈が訝りつつ尋ねる。
「霧が次元移動の起爆剤になっていると言いたいわけ?」
ヒロが頷く。
「そうです。そして自分と加奈さんは偶然時空間移動してパズルの集団自殺のカオスを起爆してしまい、それに関わる人々をも巻き込んでいる。そんな推論を自分は展開しているわけです」
加奈が一笑し言った。
「でも私達を追っている組織の人達は霧をかい潜りこの別荘に捜索すべく入っているとしても、私達を見付け出す事は出来ていないじゃない。それは異なる次元に入っていない事となるじゃない。それなのに集団自殺のカオスに巻き込まれていると言うの。そんなの根拠が何も無い邪推でしかないと私は思うわ。違うかしら?」
ヒロが瞼を伏せ、物憂い感じで言う。
「この別荘に入る入らないは関係なく、雅さんを始め、僕らを追っている人達が、それぞれの心の相関図式に関わりなく、霧に紛れ僕らを追っているその事が、相関関係の無いパズルのコマを集団自殺のカオスとして嵌め込んだ事になりませんか?」
加奈が顔をしかめ否定する。
「そんなの推論に過ぎないじゃない。君はどうしても私をこの場所で心中に巻き込みたいの?」
ヒロが否定せず頷き言った。
「それは勿論そうですね」




