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男女共学のバイビー47

寒いですね、頭。この寒さだけで死にたくなりますよと、今井は言った。

木の幹に寄り掛かり、頭を仰ぐように見上げ震えながら今井が言う。





「寒いですね、頭。この寒さだけで死にたくなりますよ」





頭がうずくまりもう一度手の甲で涙を拭い震える声で言う。





「大丈夫だ。若頭が我々を救助してくれる。だから今井しっかりするんだ!」





今井が涙ぐみ、負傷した足を見下ろしてから言った。





「何か熱いだけで痛みがありませんね。歩くどころか感覚がなくまるで他人の足のようです。しかし頭、自分は帰還出来たら好きな子と結婚しようと思っていたのですが、この霧に紛れていると、何故か無性に幸せになる事が面倒臭く、この濃霧に紛れて死にたくなるのです。この濃霧の中にのみ自分の本当の幸せがあるような気がするのです。自分は狂ってしまったのでしょうか、頭?」




頭がザックからタオルを取り出し、うずくまって、震える手で今井の足を縛り止血してから、込み上げる涙を堪えつつ言った。





「今井、しっかりとするんだ。帰還して結婚すればいいじゃないか、今井、結婚して沢山の子供を作り幸せになれば良いじゃないか、今井!」





今井が泣き笑いのような顔付きをして弱々しく答える。





「こんな足じゃ無理ですよ、頭。この足をこの濃霧に預け結婚して自殺するのが自分の幸せならば、頭、自分をこの場で殺してくれませんか、頭?」





うずくまったまま頭が首を振り否定する。





「駄目だ、今井死ぬんじゃない。今井、しっかりするんだ、今井!」





今井が狂ったように一声笑い言った。





「頭に殺して貰えば、この霧と結婚出来ると思ったのに残念です。頭、さようなら」





今井が素早く胸元のベルトホルダーから軍用ナイフを抜き取り、両手で力任せに己の喉元を切り裂いて、血飛沫が上がり、その返り血を浴びながら頭が声を限りに叫んだ。





「今井!」

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