男女共学のバイビー41
絆に恵まれないと、悲しく寂しいだけですよね、人生なんてと、ヒロは悲しげに言った。
ヒロが悲しげに繰り言のように言葉を繋いで行く。
「子供は親を選べませんよね。そしてその子供の境遇は親の生活環境により決定されてしまうじゃありませんか。境遇が子供の心に与える感情の分量には大きな個人差があって、自分のように寂しい境遇に生まれた者は、その寂しさを生涯変える事は出来ませんよね。寂しい者は死ぬまで寂しいというのが定まった真理であり、自分もその定めを変える事は出来ず、寂しいままに一人ぼっちで死んで行くのが運命ならば、これって自分の預かり知らぬところの原罪があるから、つまり自分の生前の業罰の結果なのですかね?」
もう一度時計を見遣り苛立たしげに加奈が答える。
「私はそういう宗教的な事柄には疎いけれども、人は皆寂しいものなのよ。でも自分の深すぎる寂しさを野放しにして、変えようとせず、その変えようとしない寂しさに他人を巻き込み、悲惨な自殺に追い込む権利なんか誰にも無いのよ。家族に恵まれていなかったら、新たに家族の絆を作ればいいだけの話しじゃない。そんな努力もしないで、悲しく暗い心に人を巻き込んで、死に追いやるのなんか身勝手な死に神のやっている事と同じじゃない。違うかしら?」
ヒロがしみじみと言う。
「自分も愛に飢え、最愛の人を探したのですが、寂しい境遇の者には寂しい境遇の者との分相応な絆が生じると思ったのですが、自分にはとうとうそんな人も現れなかった。愛に見放された者は寂しく孤独死して行くのが定めなのですかね」
冷淡に加奈が言い切る。
「そんなの当然よ。君がいくら寂しを歎き、自分の死に人を巻き込んだって、その寂しさは変わらないのだから、その寂しさを一人噛み締めて自殺するのが礼儀というものじゃない。私はそう思うわ。絶対にね」
ヒロが物悲しいピエロのような表情を作り言った。
「絆に恵まれないと、悲しく寂しいだけですよね。人生なんて…」




