表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/198

男女共学のバイビー29

金なんかいくら有ったて、愛の無い人生は寂しく不毛で無意味ですねと、ヒロはしみじみと言った。

ヒロが愁いを湛えて言う。





「自分は現実世界を生きて来て何も良い事が有りませんでした。ホストとしてお客さんに接し真心を込めて恋愛をしても、たかがホストと馬鹿にされ、真心で応えてくれる人は一人としていませんでした。心はいつも寂しく虚ろで、死んでいたのも同然です。だから自分は最愛の人と相思相愛になり、死ぬ事を夢見たのです。でもとうとう自分には相思相愛の人は現れませんでした。寂しく一人で死んで行くのが自分の人生の終着駅なのかもしれませんが、本当に寂しくて寂しくて仕方ありません。それだけです」




加奈が冷ややかに言う。





「脅しの次は泣き落とし。でも私はこの別荘の正体を知らないから、それを知りたいだけで、あなたの身の上話しなんか聞いても同情なんかしないわよ。そのつもりでいてね」




「いや、自分は同情を引こうと思って言っているのではありません。ところで加奈さん、本気で人を好きになった事って有りますか?」




加奈が答える。





「それは有るわよ。孕まされて中絶、こっぴどく棄てられちゃってさ。だから私は男なんかまるで信用していないの。男は単なる遊び相手。それ以上のものでもなければ、それ以下のものでも無いわ。遊び相手となんか死んだって寂しいのは変わらないしね。そこまで私は馬鹿じゃないし」




ヒロがしきりに頷き言った。





「それも又寂しい話しですね。自分は親にも兄弟にも縁が薄くて愛情を注いだ事も、受けた事もなく、まともな恋愛さえした試しが無いし、愛にはぐれっぱなしで、いつも寂しく一人ぼっちですよ。金なんかいくら有ったて、愛が無い人生は無意味ですね。つくづくそう思いますよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ