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男女共学のバイビー28
いえ、手続きを踏んだから死ぬのですよと、ヒロは加奈に言った。
加奈が狼狽するのを深呼吸して抑えてから言った。
「ちょっと待ってよ。それじゃ手続きを踏んでいない捜索隊は既にこの別荘に入り、誰もいないのを確認して帰ったと言うの?」
ヒロが頷く。
「その可能性も勿論有りますね」
加奈が視線を落とし床の一点を凝視しながら言った。
「何故手続きを踏んだ者だけがこの狂った世界に出入り出来るの?」
「それは全く相互関連性が無いので自分には分かりません。ただそうなっているから、そうなっているという曖昧な返事しか出来ません。すいません」
加奈が狂い出しそうな目付きをして言う。
「死んでいるが生きていて、在るが無いと言う矛盾カオス時間軸の歪みの中で、例えば私達が心中したとしたら、私達は死にながら生きてるけれど、死ぬの?」
ヒロが首を振り断言する。
「いえ、手続きを踏んだから死ぬのですよ」
「現実世界でも?」
ヒロが頷き答えた。
「そうです」




