男女共学のバイビー26
苦渋の選択を迫られ、ここで持久戦に持ち込み、救援を要請、救援が来るのを待つしかあるまいと、頭は告げた。
断末魔の絶叫を聞きつけて、バンガローの中に戦慄が走る。
それを頭が手で制し、怒鳴り命令を下す。
「騒ぐな。じっとしていろ。騒いだら敵の思う坪だ!」
一同一瞬静まり返った後、今井が挙手して、落ち着いた口調で言った。
「頭、ここにいたら、敵に一斉攻撃され、皆殺しの憂き目に会うと思うのですが。それよりも全員で打って出て、銃を乱射しながら弾幕を張り強行突破した方が得策だと自分は思いますが、如何でしょうか?」
一同が同時に頷き合い、そうだそうだとどよめくのを再び手で制してから、頭が告げる。
「俺はその意見には反対だ。反対する理由としてはまず一つ。敵は近隣の者に気取られないように、音無しの構えで一人づつ仕留めるゲリラ戦を選択仕掛けて来ているから、派手な一斉攻撃は仕掛けて来ないと予測が立つ。今一つの理由は、我々は何処からか分からないが尾行され、このバンガローは全包囲され、敵は俺達の姿を完全に掌握監視されている状態だから、濃霧の中に銃を乱射しながら打って出ても一発も当たらず、やがて弾が尽き、霧の中でほふくする敵を特定出来ない分、こちらは撤収移動する音で居場所を特定され、ゲリラ戦白兵戦を仕掛けられて、全滅させられるのが落ちだと俺は思う」
今井が首を傾げ再度質問する。
「打って出て、ゲリラ戦になった場合、敵の方が優位に立つとおっしゃいますが、その根拠を言ってくれませんか?」
言葉を選びつつ頭が答える。
「先程も言ったが、濃霧の中敵は我々を特定し、逆に我々は尾行されているその事実にも気が付かなかったわけだ。それは取りも直さず、敵の方が我々よりもゲリラ戦に長けている証拠だと俺は思うんだ」
一同がおののきどよめくのを牽制するように今井が再度質問をする。
「敵がサイレンサーを使っての総攻撃を仕掛ける事は十分予測の範囲内ですよね。ですから我々はここに居ても、袋の鼠であり、全滅を免れません。打って出る事も、ここに音無しの構えで霧が晴れる迄持久戦に持ち込む事も出来なければ、頭はどのような戦術で局面打開をするつもりなのですか。その考えを聞かせて下さい」
苦渋の選択を迫られ、頭が答えあぐねる間を置いてから告げた。
「ここで持久戦に持ち込み、救援を要請、救援が来るのを待つしかあるまい」




