男女共学のバイビー18
そうね。それが私が求めていた君を弄び手の平で転がし、棄てて殺す愉しみならば、その賭けは正にスリリング、愉しみ甲斐のある賭けよね。私はそう思うわと、加奈は言った。
加奈が改まった口調で尋ねる。
「それじゃ尋ねるけれども、逆に私があなたを好きではなく、私がここを出て殺されてしまい、あなたが死ぬというパズルの非相関関係的完成がパズルの集団自殺の完成図というのも有りと言う事ね?」
ヒロが頷き答える。
「そうですね。そういう図式は手続きを踏襲しての、不揃いの未完成な完成として、既に用意されていたからこそ、パズルの集団自殺は未完の完成図に至るのかもしれませんね」
加奈が面白がり笑ってから言う。
「それじゃ私が遊びではなく、本当にあなたを好きならば、私は逆に死なずに済んだと言うのも有り得ると?」
ヒロが愁いを湛えて答える。
「非相関パズルですから、その可能性も当然有り得ると思います」
加奈が苦虫を噛み潰すように顔をしかめ言う。
「もしそれがこのパズルの集団自殺の完成図ならば、私が死なないようにする事が最大の愉しみね。それこそが私が主体的にパズルの集団自殺の帰結を招くならば、私こそが異次元に於いても中心的存在である事の証明になるから、私としては死なない形を迎えれば、プライドをくすぐられ、逆らい甲斐があると言うものよね」
表情を曇らせたままヒロが言う。
「死ぬか生きるかの賭けを、相関関係の無いパズルの図式は最初から用意しており、それを愉しむと言うのが、未完成としての完成図に逆に近付く形ですか?」
加奈が恭しく頷き言った。
「そうね。それが私が求めていた君を弄び手の平で転がし、棄てて殺す愉しみならば、その賭けは正にスリリング、愉しみ甲斐のある賭けよね。私はそう思うわ」