男女共学のバイビー178
バンガローに戻ったところで、向こうも墓場には変わらないしなと、若頭は言った。
若頭が深呼吸してから続ける。
「パズルの誘導は墓場に着いたら、我々を完全に狂わし、自殺に追い込む算段だからな。その前に何としても山道の街灯を見付け出したいのだが、このままでは無理だな。三人分散して探すと言う手もあるのだが、それでは完全に遭難する恐れがあるし。困ったものだ」
顔に不遜な敵愾心を顕にした後、そんな理不尽を撤回するようにかぶりを激しく振り、ヒロが言った。
「携帯ナビの示す通りに歩いているのに何故山道に出ないのでしょうかね?」
若頭が疲れを苦笑いに託して答える。
「だから微妙に方角をずらされているのだろうな。濃霧の中こんな藪の中では、目印もなく方角も定まらないし。同じ処を堂々巡りしているような錯覚を起こすしな。完全な迷路だな、これは」
松田が涙ぐみながら泣き笑いして、その後狂ったように一声笑い、その笑いをごまかすように吃り言った。
「お、押忍」
若頭が額の汗を拭い続ける。
「だが例えば二人が待つバンガローに戻ったところで、向こうでも足音は聞こえているのだから、向こうも墓場には変わりは無いがな…」




