男女共学のバイビー168
失敗しても駄目元でやってみる価値はありそうだなと、若頭は言った。
加奈の悲鳴に一斉にメンバー三人がバンガローに集まり、足音についての検証が行われたが、外に出れば中から聞こえ、中にいれば外から聞こえる形は変わらず特定不能、正体不明のまま全員が戦慄し、恐怖におののいた。
若頭が足音に聞き耳を立てながら、腕を組み言った。
「この足音は何か不吉なものの前兆なのか?」
その言葉を聞いてヒロが言った。
「少なくとも幸運を齎すものでは無いと自分は思いますが」
若頭が苦笑いを浮かべて困惑しつつ言う。
「さあ、どう対処するかな?」
ヒロが発言する。
「この足音は雅会長、加奈さん、松田の兄貴が聞いているのであり、自分と兄貴は聞いていないわけです。それはつまりパズルのこの足音に関するコマの割り振りが山道とこのバンガローに配置されている事を踏まえ、逃げれば追い掛けて来ると言う習性を逆手に取って、藪の方におびき出すと言う手がありますよね?」
若頭が注釈を入れる。
「それはつまりこのままの形で雅会長と加奈さんをこのバンガローに置き、後の三人で山林の方におびき出すと言う事か?」
ヒロが頷き答えた。
「そうです。それが自分には真の意味での決戦に思えるのですが、如何でしょうか?」
若頭が難しい顔付きをしたまま頷き言った。
「失敗しても駄目元でやってみる価値はありそうだな…」




