男女共学のバイビー163
ヒロの脳裡にめくるめく一枚のパズルが現れた。
脂汗を拭いヒロからの電話を若頭は耳に充て応対した。
「もしもし…」
ヒロが心配して喚いた。
「叫び声が聞こえましたが、兄貴、大丈夫ですか?!」
熱く滲む涙を拭って若頭が震える声で答えた。
「大丈夫だ、すまない」
「兄貴、自分がそちらに向かいます!」
若頭が熱く込み上げて来る涙を拭い、答える。
「いや、大丈夫だ。お前はお前の配置で頑張ってくれ」
ヒロが縋り付くようにもう一度喚く。
「本当に大丈夫ですか、兄貴?!」
若頭が電話に向かってしきりに頷き答える。
「大丈夫だ、切るぞ…」と言って若頭が電話を切った直後、ヒロの脳裡にめくるめく一枚のパズルが浮かび、その一番左上の一コマに男が拳銃をこめかみに突き付け自決しようとしている場面が現れ、その隣のコマに兄貴がその男のこめかみに拳銃を突き付け引き金を引こうとしている場面が現れた。
そして兄貴は拳銃を容赦なく発砲、男はこめかみを撃ち抜かれ白目を剥いて痙攣しながら絶命して行った。
そしてそのパズルの二コマは彩りを変え黒くなりながら崩れ落ちて行き、その崩壊に触発されるようにヒロの心臓が激しく脈打ち始め、ヒロは涙ぐみ痙攣しながら呼吸困難に陥って行った。




