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男女共学のバイビー156

松田がうごめく闇の呼び声に向かって恫喝した。

涙が止まらない雅に対して背後の闇がうごめくように声を掛けた。




「ヒロが…」





咄嗟に雅が眼を大きく見開き、車椅子を押している松田を振り返り震える声で「松田、な、何か言ったか?」と尋ねるが松田はうろたえ首を傾げ吃りながら「い、いえ、何も言っていませんが、か、会長?」と答えた。





雅が血走った眼を見開いたまま顔をしかめた瞬間、又しても背後からぬめるような呻き声がした。





「ヒロが…」





その声を聞き「ヒロが死んだ」と雅は心で勝手に結論を下し、それに伴い心臓が激しく脈打ち息苦しくなって行き、その急速に脱力して行く息苦しさを、もどかしく跳ね退けるように雅は叫び声を上げた。



「松田、ヒロが死んだわ!」





松田がうろたえ動揺し、声を限りに吃り声で否定する。





「い、いえ、会長、ヒロは死んでなんかいません!」




その叫び声を上げた直後、松田の背後の闇が又しても低く無気味な声で「ヒロが死んだ」と言い、松田が激しくかぶりを振り、もう一度否定すべく喚いた。





「ひ、ヒロは死んでなんかいない!」





その声に雅が狂おしく号泣しながら震える声で叫んだ。





「ヒロ、ヒロ、ヒロ!」




松田が車椅子のフックを力任せに押して止め、追い縋る背後の闇に向かって力の限り恫喝した。





「ヒロは死んでなんかいないぞ、悪魔め、立ち去れ!」

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