男女共学のバイビー152
雅が「ヒロ、私も一緒に行く」と啜り泣きながら縋り付いた。
ヒロが一つ身震いして「行きます!」と出発の号令を掛けると異変が起きた。
雅が縋り付くように手を差し延べ泣き出し「ヒロ、私も一緒にいく」と駄々をこね始めたのだ。
啜り泣きながら「ヒロ、ヒロ、ヒロ」と言って泣き止まない雅を振り切るわけにも行かず、ヒロが涙ぐみつつ雅に近寄り宥める。
「雅会長、雅会長と一緒に行けば、自分はパズルの集団自殺と一人で戦えませんから、雅会長は松田の兄貴と一緒に来て下さい。すいませんが、雅会長お願いします」
それでも泣き止まない雅は「私を一人にしないで、ヒロ、お願いよ、お願いよ、ヒロ、お願いよ」と駄々をこね続ける。
どうすればいいのか分からず、ヒロが松田と若頭に助け船を出すような仕種をすると、若頭が首を振り雅に対して言った。
「雅会長、ヒロは死にませんよ。必ず上で再会出来ますから、なっ、そうだろう、ヒロ?」
ヒロが恭しく頷き「ええ、必ず約束します、雅会長」と言うと、それに呼応するように松田が「雅会長、ヒロを信じてやって下さい」と一言言い、雅がひとしきりむせび泣き、その涙を拭ってから言った。
「ヒロ、絶対に死なないで頂戴、ヒロ、お願いよ…」
その言葉に後ろ髪を引かれるようにヒロが出発して闇の中に消えて行った後も、雅はむせび泣き続け、貰い泣きするように松田も若頭も涙ぐみつつ、時間差を計り間を置いて順次出発し、各々のフォグランプの光芒が濃霧の底無しの闇に吸い込まれて行った。




