男女共学のバイビー15
その女は生きて身柄を確保出来たら拘束し、その筋に売り飛ばす段取りを踏み、死んでいたらそのまま放置してくれと、ヒロから損害賠償を徴収している組の若頭は言った。
ヒロから損害賠償を徴収している組の若頭がインテリ風の眼鏡をかけ直し、けたたましく鳴っている携帯電話を耳に充て応答する。
「そうか、生きていない可能性もある事を考慮して、死体でもいい、とにかく先手を打ってヒロの身柄を確保してくれ」
電話の向こうで捜索隊の頭が訝り質問する。
「失礼ですが、死体を先に確保する事は無意味なのではありませんか?」
寸暇熟慮する間を置いてから若頭が答える。
「いや、これは既に組同士の面子に関わる戦いの様相を呈しているからな。それが死体であろうとも先に確保する事が必要筋道なんだ」
捜索隊の頭が若頭の言葉を吟味しつつ再度質問を重ねる。
「ならば死んでいる事が判明し、その遺体を回収する争いとなり、向こうの組が攻撃して来たら容赦なく迎撃しても構わないのですね?」
若頭が即答する。
「何人殺しても構わない。これはもう戦争だからな。とにかく生死に関わらずヒロの身柄を先に確保するべく、尽力してくれ」
間髪を入れず捜索隊の頭が質問を繰り返す。
「一緒に逃げた加奈とかいう女はどうしますか?」
眉間に縦皺を寄せて若頭が答える。
「その女は生きて身柄を確保出来たら拘束し、その筋に売り飛ばす段取りを踏み、死んでいたらそのまま放置してくれ」