男女共学のバイビー141
パズルの集団自殺に追われているような感じがしますと、ヒロは言った。
つつがなく事後処理を終え、若頭は自宅マンションでヒロとの共同生活を開始した。
己の言葉の陥穽に己自身が嵌まって行くように、他のヒロを除いた三人のメンバーの事を考え心配するだけで、突き上げる自殺願望が擡げて来るのに若頭自身が苦しみ持て余す状況が続いている。
それを何とか精神安定剤で抑制し凌ぎながら、若頭は雅や加奈と粒さに連絡を取り合いながらも、その一方で多方面から情報を収集し、パズルの集団自殺の検証分析を行っているのだが、決め手となるような手掛かりはなく、調べあぐねているのが現状と言えよう。
マンションの近くにある居酒屋にヒロを連れ出し、若頭はヒロをいたわり労いつつ言った。
「雅会長の言う通り、薬物は強めるだけが精一杯で段々効き目がなくなって行くな…」
物憂い表情をしながらヒロが答える。
「そうですね、兄貴、すいません」
若頭がヒロを諭す。
「何度も言うがそのすいませんは止めろ。今日は憂さを晴らしに来たのだから、思う存分飲み食べろ、ヒロ?」
ヒロが「はい」と返事をしてからつまみに箸をつけつつ言った。
「兄貴、追われているような感じがするのですが、兄貴はどうですか?」
「うん、それはどういう事だ?」
「だからパズルの集団自殺に追われているような気がするのですよ。兄貴はそんな感じ有りませんか…」




