男女共学のバイビー139
いたたまれずヒロが挙手し発言した。
いたたまれずヒロが挙手して発言した。
「その提案は自分は絶対に反対です。そうなれば自分はいやがおうでも加奈さんと引き離され、監視がきつくなる元の鞘に収まらなければならず、それは余りにも自分に不利な雅会長にとって都合よい目論見ではありませんか?!」
詰られ雅が辛そうに俯き押し黙るのを庇うように加奈が言う。
「私は雅会長の提案に諸手を上げて賛成であり、もう一つ明快に言えば、雅会長の提案にヒロさんは反対する権利は全く無いと断固思いますが、どうでしょうか?!」
ヒロが怯み沈黙するのをけんもほろろに横目で見遣り確かめてから、加奈が続ける。
「私は先程も言いましたが、意に反して生きたくもない現実を生きながらえなければならない、言わば罪滅ぼしをしているヒロさんの責任の所在は敢えて問わないつもりですが、それに付け加え、私は罪もなくヒロさんの身勝手な無理心中願望に巻き込まれた言わば被害者であり、その被害者が当然の権利として加害者を遠ざけ、傷付いた心を癒すのは当然だと思いますが、いかがでしょうか?」
しんみりとした重い沈黙を押し退けるように若頭が加奈を促す。
「加奈さん、続けて下さい」
加奈が涙ぐみそれを手の甲で拭い言った。
「私も仕事に託けて、一家団欒をおざなりにする金儲けしか念頭に無い両親に愛情は感じませんが、それでも私には帰る家が有り、その心安らぐホームグランドで、雅会長は薬物治療には限界があるとおっしゃていましたが、個人差をも鑑みて、この恐ろしい不安神経症を治すべく通院治療して、元の自分に戻りたい。今の私の望はそれしかありません。以上です」




