表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/198

男女共学のバイビー134

それは俺も同じだなと、若頭は言った。

若頭がいみじくも言う。





「さっきホテルでちらっと速報を観たのだが、電車への投身自殺が又有ったようだ。しかしここでは連鎖増殖するパズルの集団自殺に歯止めを加えると言った無理難題、大局的目標からは眼を逸らし、卑近かもしれないがとりあえずは自分達の自殺願望をどのように消去するかに全力を傾けよう。然るに高原の脱出劇で何か糸口というかヒントのようなものが無かったかを、全員思い出せる限り、言ってみてくれないか?」




先発で加奈が答える。




「私も狂って我を失い、寸前のところで助かったのは多分皆と同じだと思うのですが、パズルの集団自殺の狂気はその対象の心の一番深くに根差した心的外傷を揺さぶる形が顕著だと思います。私の場合は過去…」





加奈が声を震わせ話を中断したのを、若頭がすかさず配慮しおもんばかる。





「辛くて口に出せない過去ならば、無理に言う必要性は無いのでは?」





加奈が涙ぐみつつも首を振り気丈に言った。




「いえ、私は過去中絶経験があり、それが心の奥底で深い罪悪感、心的外傷になっていたようで発狂しましたが、自分が死ねば皆も死ぬ、そんな事は何が何でも回避したいと念じ何とか自分に鞭打って脱出出来ました」





若頭が尋ねる。





「狂った時の記憶は有ったのかな?」





「まるで脅しの連鎖のように明瞭に有りました」





若頭が眉をひそめ尋ねる。





「脅しの連鎖とは?」




「狂った時の記憶を明瞭に残しておいて、それを重複繰り返し、対象の心を破壊するやり方です」




若頭がしきりに頷き答えた。





「それは俺も同じだな…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ