男女共学のバイビー13
尾行者が頭を銃で撃ち抜かれ、死んだ。
ヒロを見失い「見失いました」の一報を雅に電話連絡した後、濃霧の中を引き返そうとして同じ道筋を堂々巡りしている二人の尾行者が恐怖と不安にうろたえる。
拳銃を片手に後ろを固めて歩いている者が、やはり拳銃を手にして前を固めて歩く者に助けを求めるように言う。
「兄貴、俺達は遭難したのではありませんか。もう心細いし寂しいし、怖くて仕方ありません」
前の者が声を震わせながら答える。
「大丈夫だ。霧は必ず晴れる。いいから俺から離れるなよ?!」
その掛け声に後ろの者が何故か返事を返さないので、兄貴と呼ばれた者が立ち止まり、後ろを振り返るが、誰もいない。
咄嗟に「おい!」と大声で呼びかけるが、やはり返事はなく、兄貴と呼ばれた者が仲間を捜すべく来た道を引き返そうと歩き出した直後、銃声が轟きくぐもるような断末魔の絶叫が上がった。
動揺し、声がした方に兄貴と呼ばれた者が慌てて駆け寄ると、見失った者がこめかみを撃ち抜かれ血を流しながら倒れているのを発見、驚愕し慌ててそれを雅に報告する為に電話をかけるが、電話が繋がらない。
何度かけても繋がらないのに業を煮やし、兄貴と呼ばれた者が電話を苛立たしく投げ捨て、狂おしく頭を掻きむしり、雄叫びを上げて濃霧の中に走り出した直後銃声が轟き、濃霧が立ち込める高原は静寂に包まれた。