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男女共学のバイビー129

雅はなりふり構わず、むせび泣いた。

震える心のままに雅は考える。





恐怖心しか無いこの濃霧がヒロを呑み込み、その残滓にヒロの哀切漂う寂しき心があり、切なくヒロを思う至上の愛を紡ぐ一体感があるならば、この霧になり死んでも良いと思う。




死ぬのは確かに怖い。




だがヒロの心を我が物に出来るならば、それはあたかも桃源郷ではないかと雅は切に思う。




何物にも代え難いヒロの心。





それを掴めない自分の何と不甲斐無い事か。




富も名誉も要りはしない。





求めるものはヒロの心それしかない。





だがヒロは自分を振り向いてはくれない。





その悲しき激情のままに、舌を噛み切って死にたいのだが、ヒロと一緒に死ねない寂しさを思うと死ぬ事すら出来やしない。





己はつくずく情けない女だと思う。





そう思うと熱い涙が込み上げて来て止まらず、濃霧の中、雅はなりふり構わずただむせび泣いた。

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