男女共学のバイビー128
寂しく止まったヒロの心の独楽は回らない。
子供心になったヒロの心は寂しく軋む。
悲しくも寂しい心象風景が跳べない縄跳びの涙となりヒロの心を溶かし泣かす。
「何故この縄跳び跳べないの、ママ?」
ヒロが尋ねても寂しいだけの縄跳びになったママは答えない。
揺れ動く寂しさになった縄跳びの歎きに、青いスモックを着たヒロは独り涙する。
影絵のような濃霧の寂しさは虚ろではないのに、ヒロの寂しさが母親の歎きの縄跳びになっているもどかしい暗がりの中、ヒロは母親に置き去りにされ独りぼっちで泣いている。
ひたすら泣いている。
皆が遊ぶ日だまりから時間の悪戯で外れた、ヒロの寂しいだけの心は日だまりに戻ろうとしてもがくが、捻れたこよりを解し戻す事は出来ない。
「ママ、寂しいよ、助けて、ママ」
寂しい灰色をしたヒロの心の独楽は回らずに止まったまま動かない。
母親の温もりからはぐれたもどかしさのままに、跳べない縄跳びを回らない独楽のヒロは哀しみを湛えじっと凝視している。
やがて涙は涸れ、そのまま冷たい濃霧となってヒロの頬を濡らし、ヒロはその冷たさに我に帰り、眼を見開いて息をつき、寂しさのままに立ち上がって力なく歩き始めた。




