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男女共学のバイビー126

若頭は水を飲み下し、深くため息をついた。

グループ内の相関関係は複雑に入り組んでいると若頭は思う。





仮にヒロが死ねば、雅会長は間違いなく後を追い、その直属の部下である松田の兄貴も死ぬに違いない。





そう若頭は考えるのだが、パズルの集団自殺の機能がどう動くかは一切予測がつかず、予断は許されない。




ただ感情論で言えば、ヒロは加奈を心中に巻き込むべく存念を抱いているし、雅会長はヒロが死ねば後を追う構図だが、松田の兄貴が雅会長を好いている事が伺え、それが若頭からすると不憫に思えてならない。





松田の兄貴は所謂朴念仁で、雅会長の事を密かに慕いながらも、恋愛対象としては雅会長はヒロしか眼中になく、その分松田の兄貴の恋は悲恋となっている公算が大だ。





兄弟がやるせなく、引き攣る三角関係の中で苦悩しのたうちまわる縮図。





その複雑な構図にパズルの集団自殺は不整合で矛盾した判読不可能な形而上的図式を、好むと好まざるとに関わらず放り込み、混沌の坩堝が生殺与奪権を、それぞれの思惑など無視、度外視して行使している。




人に恐怖心だけを植え付ける狂った濃霧の流動的粒子は、人間存在の抱く寄る辺としての常識をパズルの集団自殺の不整合で相関関係の無いコマの割り振りに放り込み破壊、生殺与奪権を絶対行使しているのだ。





嵌めたコマが黒なのに、そのコマは同時に白いコマとなり、相関関係を無視して遥か宇宙の彼方のコマを白く染め、その白いコマが本になっているコマの白黒を破壊消し去る、パズルのカオスとしての予測不可能な図式。





そのパズルの図式が濃霧となり死の恐怖を甘美な誘惑にいやが上にも変えている。




濃霧の懐を当てどなくさ迷う集団自殺行は、自分のこんな思考さえもが、死への恐怖心を消去麻痺させる道具と化しているのを感じ、直ぐさま発狂する予感に、心は戦慄し震えばかりなのを、若頭はそぞろ感じ取り、立ち止まって小刻みに震える手で水筒を傾け水を飲み下し、深くため息をついた。

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