表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/198

男女共学のバイビー123

加奈がうずくまり、子守唄を歌い始めた。

背後で霧が竦み、赤子の泣き声を上げたのを加奈は耳にした。





咄嗟に振り返るが、そこには濃霧が視界を遮るだけで誰もいない。




一つ息を吐き出してから、柵に手をかけ、どちらに向かえば良いのかを、柵の手触りから判断確認しようとした時、再び赤子の泣き声が聞こえた。




水子と言う語句が脳裏を掠め、堕胎した時の忌まわしい記憶がめくるめく甦り、加奈はその悲しみに、濃霧の中死を夢見て、泣きながらうずくまり、赤子をあやすように微笑んだ。




うずくまったまま加奈が悲しげに歌を歌い始める。





「ねんねんころりよ…」




その子守唄が最後まで歌われれば加奈は自分が死ぬと考えるのだが、自分の歌声を自分で止める事が出来ない。




悲しい子守唄のいんが濃霧に包まれ、高原の静寂の中を哀しみを帯びて伝わって行く。





そして歌い終わる直前、加奈は両手で耳を塞ぎ「御免なさい。御免なさい。許して頂戴!」と叫び、その叫び声に正気を取り戻して立ち上がり、ふらつきながらも再びゆっくりと歩き出した、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ