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男女共学のバイビー12

逃走し、霧と化して消えようと、ヒロは濃霧の中に紛れて行った。

逃走し霧と化して消えようと念じ、ヒロは濃霧立ち込める遊歩道に足を踏み入れた。




当然霧に紛れて、尾行を巻くべく長時間濃霧の中を歩き回る事になるのだが、濃霧に前後左右の方向感覚が全く失せ、それが堪らない程の孤独感、心細さを募らせる。





寂しさに気が狂い出しそうになるのを堪えながら、ヒロは慎重に歩を進めて行く。





一メートル先も見えない濃霧は、進むごとに、まるで底無し沼のように心をわしづかみにし、そのまま呑まれて消されてしまうような不安を抱かせる。





この濃霧に紛れる事こそが寂しさを消す集団自殺への手続き、懸け橋なのは分かっているのだが、本能的な恐怖心が募るのをどうする事も出来ない。





立ち止まり、身震いするのを奥歯を噛み締めて止めようとするのだが、震えは一向に止まらない。




寂しさに独り泣き笑いするような表情を作りヒロは再び歩き出し、程なく立て看板があるT字路に差し掛かり、湖畔への案内図とは逆方向を選択向かい、狂おしく瞬きをしてから寒さに唇を震わせながら呟いた。





「加奈さん、待っていて下さい。もう直ぐ行きますから…」

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