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男女共学のバイビー118

メンバー全員が濃霧立ち込める高原の遊歩道を目指し歩き出して行った。

雅を乗せる車椅子専用のワゴン車で、一行は高原に向かい、濃霧立ち込める駐車場に車を留め、降り立った。





スロープが備えられ車椅子でも入れる休憩所に入り(濃霧の為高原の遊歩道に入る際は単独での散策禁止。多人数でも厳重注意を促し柵の外には出ず、遭難するのを防止して下さい)との電光掲示板を横目で見遣りながらの、事前ミーティングが為されて行く。





厚手の防寒着を纏った若頭が椅子に腰掛け、細かく荷物を最終チェックして座ったメンバーにおもむろに話しかける。





「とりあえず目隠しの意味で、皆で遊歩道に入り、そこから順次時間差をつけて上の出口を目指す。各々気を引き締めて、己との戦いに勝利せしめるべく、遭難しないように細心の注意を払って事に当たって欲しい」





加奈が軽く挙手して言った。





「私を先発させて下さい」




誰も異存はないので、若頭が相槌を打ち答えた。





「分かった。それじゃ二番手は?」





すかさずヒロが挙手して立候補し、その理由を的確に述べ立てる。





「約束通り自分が加奈さんの後をつけ、一切手出しはせずに、いざ事が有った場合は後を追いますので、御了承下さい」





コンタクトレンズではなく、曇り止めを施した眼鏡をかけた若頭が恭しく頷き応じた。





「分かった。ならばその順番で。雅会長と兄貴はヒロの次で、自分がしんがりを務めるとしよう。とにかく各自自力で出口を目指し、途中手出し手助けは絶対無用のルールを、身体が不自由でハンデを持つ雅会長以外は全員厳守し、出口で必ず落ち合うべく生還を期してくれ。頼むぞ」





一同呼応するように緊張した面持ちで各々相槌を打ち、荷物を背負いフードを被り手袋をつけ、松田が立ち上がり雅の車椅子を踏ん張るように押して歩き出すのに、銘々その車椅子を庇うように続き、休憩所を後にして、濃霧の中にその姿を消して行った。

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