男女共学のバイビー113
追っ手はパズルの集団自殺、つまり死に神を巻くと言う事ですねと、加奈が言った。
難色を示しながら若頭が言った。
「人間の思考は整合性を完成図として構成されているからな。カオスの中での整合性などと言う不条理矛盾は眺めるのが精一杯であり、遺憾ともし難いからな。どうすればいいのだろう?」
加奈が思い付くままに自分の意見を言う。
「お兄さん達が来る前、ヒロかんが入口は有っても出口が無い迷路の話をしていましたが、出口が無ければ入口から出るしかないという発想もありますよね?」
雅が相槌を打ち答える。
「そうよね。カオスの中での整合性などという分析不可能な事柄を論うよりも、シンプルイズベスト、単純明解な方が的を射ている可能性は高いと思うわ」
若頭が加奈に尋ねる。
「入口を出口と見做し出ると言うと我々は何をすればいいのだ?」
加奈が答える。
「来た時と同じ道のりを、各自一人ずつ帰ればいいのです」
若頭が訝る。
「その方法論を具体的に言ってくれないか?」
加奈が来た時の状況を脳裏に思い浮かべながら言った。
「一人ずつ濃霧の中高原に入り、遊歩道をさ迷いつつ、入口から出る形です」
ヒロが疑問符を投げ掛ける。
「入口を出口と見做し出るにしても、今度は巻く追っ手という項目が無いじゃありませんか?」
考える間を置き加奈が答えた。
「追っ手はパズルの集団自殺、つまり死に神を巻くと言う事ですね。多分」




