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男女共学のバイビー112

知りませんと、ヒロは言った。

雅が帰って来て話が中断し、松田が雅の車椅子を所定の位置に着け座った時点で雅が全員に対して報告をした。





「さっきホテルでニュースを見たのだけれども、電車への飛び込み自殺が昨日に引き続き二件続発したらしいわ。それと私の配下にバンガロー周辺を捜索し遺体と遺留品を捜せと命じたのだけれども、一体も発見は出来ていない状態よ。これは異常事態だと私は思うの。どうかしら?」





咄嗟に若頭が尋ねる。




「バンガローは破壊されたままなのですか?」





雅が頷き言った。





「それは破壊されたままで、オートキャンプ場の管理会社に事前に担当の者から連絡させ、遊びが過ぎたと言い訳して鼻薬を効かせ、話をつけましたから、御安心下さい」





その話を聞いて若頭の形相が一変し、固唾を飲んだ後に独りごちるように言った。





「俺が見たのは幻覚ではなかったのか…」





雅が尋ねる。





「何を見たのですか?」




若頭がテーブルの上の落書き帳を凝視しながらおののきつつ答える。





「配下の者が自決して、その断末魔の絶叫を霧が黒い影として象り音もなく飲み込んで行き、遺体がそのまま消えたのです」





雅が恐怖におののき、震える声で尋ねた。





「遺留品もですか?」




若頭が信じられないという顔付きをしながら曖昧な感じで「ええ」と返事すると、すかさず加奈が若頭に告げた。




「それが災厄を齎すパズルの集団自殺の正体なのですよ。ヒロさんは確信犯だろうが、未必の故意だろうがパンドラの箱を開けてしまったのです。その責任の所在を論じ合う事こそが肝心なのです。違いますか?!」




間髪を入れず若頭がヒロを恫喝する。





「もう一度尋ねる。お前はこの自殺願望を解くキーワードを本当に知らないのか、どうなのだ?!」





ヒロが緊迫した空気をかい潜るように胸で息を吐き出してから答えた。





「知りません」


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