表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/198

男女共学のバイビー110

自分を寂しいだけの存在にしたのは世の中ではなく母親だと、ヒロは言った。

若頭が尋ねる。





「整合性の無いパズルの集団自殺と言うのは、ある意味超現実的な不可知、不可視の図式なのか。その複雑怪奇な混沌とした図式を紐解くキーワードをヒロは知っていて、知らないと白を切っていると、あんたは言いたいわけだな?」




加奈が頷き言った。





「そうです。ですからヒロさんはこのパズルの集団自殺の図式を偶然ではなく最初から解明していて、それを惹起し、無差別殺人、大量虐殺の完全犯罪を犯した上で、それを活用し私達に治癒不可能な自殺願望を植え付け、身勝手な寂しさに根差した自分の心中に巻き込む形を目論んだのです」





若頭がヒロに顔を向け尋ねる。





「ヒロ、お前の反論は?」




ヒロがわざとらしく咳ばらいしてから言った。





「では自分は加奈さんの言い分を一つずつ否定して行きます。まず一つ目。自分を寂しい存在にしたのは兄貴の前で失礼かもしれませんが、世の中ではなく、家族、その中でも取り分け自分を置き去りにして家出した母親だと思います。自分はこの母親を殺してやりたい程憎んでいますが…」




ここでヒロが一旦言葉を切り、泣き笑いの表情を作り涙ぐみ、狂ったように一声笑ってから続ける。





「母親はもうこの世にはいないので残念ながら殺せません。だから自分は世の中など全く恨んではいないし、親子関係さえ除けば、世の中に対して自分が一方的な被害者だとはちっとも思ってはいません」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ