男女共学のバイビー11
不安で心細いと加奈は感じた。
首尾よくホストクラブの出入り禁止を勝ち取った加奈は、親に暫く旅に出ると告げ、別荘に赴くべく、早朝キャリーバック持って旅立った。
通信手段を遮断し、尾行に気を付けながら列車に乗り、バスを乗り継ぎ目的地の高原に正午過ぎに降り立った加奈は、遊歩道に入る直前、霧が出ているのを確認してから勇躍遊歩道に足を踏み入れた。
尾行されている気配は無いと感じたが、湖畔に続く一本道を外し、加奈は左折し、恐る恐る迂回路に入った。
霧は深く、視界が酷く悪いのが加奈を限りなく不安にさせる。
立ち止まり、加奈は背後の気配を探るべく聞き耳を立てたが、尾行されている気配はやはり無い。
叫び出したくなる程に心細い。
加奈は涙ぐみ、それを手の甲で拭ってから、濃霧の中を手探りしつつ、迂回路を進んで行く。
迷子、遭難、死ぬという語句が脳裏に浮かび、加奈は再び立ち止まり、うずくまって震え出した。
このまま来た道を引き返そうと考え、立ち上がったところで瞬時霧が晴れ、眼前にT字路と立て看板が見えた。
立ち上がり、加奈はその立て看板に歩み寄り読んだ。
矢印の板に湖畔と書かれているその立て看板を読み、加奈は胸を撫で下ろし、もう一度滲んだ涙を拭った。