男女共学のバイビー109
何時から加奈さんは女探偵になったのですかと、ヒロは加奈を茶化した。
加奈が答える。
「まず一点、ヒロさんは自殺すると決意した時、自分は世の中に取り残された寂しいだけの完全な被害者だと思い込み、自分を苦しめた世の中に激しい憎悪と逆恨みの念を抱き、その妄想を日夜掻き立て、無差別殺人を非の打ち所の無い完全犯罪にする手段を探し、このパズルの集団自殺のからくりに遭遇したと言う事です」
ヒロが茶化すように言う。
「又始まりましたね、加奈さん。加奈さんはいつから女探偵になったのですか?」
加奈がヒロの言葉を無視して続ける。
「二点目は、相関関係の無いパズルの集団自殺を以って、大量虐殺を成し遂げ、その整合性の無さが私達の自殺願望の治療を、より複雑にし、困難なものにする狙いがあり、無差別殺人を図ったのだと私は思います」
若頭が首を傾げ加奈を促す。
「もう少し分かり易く具体的に言ってくれないか?」
加奈が恭しく頷き応じる。
「簡単に言えば、世の中の、全く見ず知らずで尚且つ遠方に住んでいるAさんとBさんがいるとして、その片方Aさんが死ねば、その相関関係関連性の無さ故にもう一人のBさんも死ぬと言うのが、パズルの不条理な集団自殺の図式、形だと思うのです。そしてこの不整合に全く関連性の無いこの湖畔にある別荘が記号ないしは方位性として横糸のように絡み、その不整合で不条理な相関図式をより複雑怪奇なものしていて、私達の自殺願望はその複雑怪奇、混沌とした図式を何かしらのキーワードで紐解かなければ、治療出来ないと言う事です」




