男女共学のバイビー105
ヒロさんは己の身勝手な寂しさから、この五人で集団自殺をする事を最初から計算、目論み成功したのですと、加奈は言った。
加奈がヒロを憎悪のこもった眼差しで睨みつけながら言う。
「ヒロさんは嘘をついていると思います」
若頭が加奈を見遣り尋ねる。
「その根拠は?」
ヒロから視線を外し加奈が言う。
「ヒロさんはこのパズルの集団自殺を惹起すれば、大勢の人を己の自殺に巻き添えに出来ると計算したのです。何故ならばヒロさんは一人ぼっちが怖く、一人で死ねる人間ではないからです。だからこの集団自殺の手続きを踏んだ時、当然私が拒むと言う事も予想して、大勢の人間を巻き添えにして死ぬ事を考えたと私は思うのです」
若頭が尋ねる。
「それがこの四人と言う事か?」
加奈が頷いてから答えた。
「そうです。だからヒロさんはここに今いるメンバーが集まる事も予測して、私が表に出ないように牽制したのです」
若頭が露骨に顔をしかめ尋ねる。
「それではヒロはこの五人で集団自殺する事を最初から狙っていたと言うのか?」
加奈が頷き同意する。
「その通りだと思います。だからヒロさんは自分の身勝手な寂しさから、この五人で集団自殺をする事を目論み、それを実行に移し、見事に成功したのです。そしてヒロさんはこの自殺願望の治し方も知っているのに、それは絶対に口を割らないのです。何故ならば集団自殺が台なしになってしまうからです。違いますか、ヒロさん?」




