男女共学のバイビー103
あの世がこの世よりも寂しい所であっても、死んでしまえば後の祭。まあこの世よりは増しかなと、ヒロは言った。
長い沈黙が続いた後若頭が言った。
「ヒロ、仮にお前は死んであの世に行っても、寂しさや虚しさが変わらなかったら死ぬ意味すら無いではないか。違うのか、ヒロ?」
ヒロが答える。
「別段自分は死後の世界を美化なんか一切していませんが、それでもまあこの世よりは増しかなと、そう思っている次第であり、これでもし実際に死んでみて、もっと寂しくなっても、それはもう後の祭仕方ない事かなと思っています。すいません」
若頭がヒロを軽く指差し言い放つ。
「一々すいませんと謝る必要は無いだろう、ヒロ?」
ヒロが答える。
「ああ、そうですね。すいませんでした」
その様子を見て雅と松田が声を揃えて笑ったのだが、若頭はにこりともせずに言った。
「だが、最愛である女性は心中への誘いをひたすら拒み続けているわけだ。だからこそお前は死にあぐねているわけだが、ヒロよ、これから先、お前はどうするつもりなのだ?」
ヒロがしおらしく答える。
「自分は加奈さんが突き上げる己の自殺願望に負けて自殺した後、人知れず後追い自殺をします。その心中を以って迷惑を掛けた皆様へ死ぬ事により責任を果たします。自分に残された道はそれしかありません。すいません」




