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男女共学のバイビー10

怒り狂った加奈がホストクラブの支配人を殴り飛ばした。

加奈はホストクラブに入った時からまるで般若のごとく眼を吊り上げ、ヒロが席に着くなり、雅が見ているその視線を跳ね返すように立ち上がり、ドリンクのセットがセッティングされているテーブルをひっくり返し、声を限りに喚き散らした。





「こんな料金システム不当じゃない。もう金が無い。金が無いの。金返せ、泥棒!」





ヒロが血相を変え、慌てふためき跳び上がるように立ち上がり、加奈を手で制しながら落ち着かせるべく声を上げる。





「落ち着いて下さい、加奈さん。料金システムに不当性は断じてありません。そんなの言い掛かりですから!」





加奈が利き腕で力の限りヒロに平手打ちをかまし、肉を打つ音を掻き消すように怒鳴る。




「金返してよ。一体いくら注ぎ込んだと思っているのさ。返さないと警察に訴えるわよ!」





暗い場内が一斉に明るくなり、店の支配人が加奈に駆け寄って来て、宥めに掛かる。





「すいません、加奈さん、落ち着いて向こうで話しをしましょう、ねっ、加奈さん、落ち着いて下さい?!」





加奈は言う事を聞かず、支配人を拳で殴り飛ばし、倒れたテーブルを思い切り蹴飛ばしてから喚き散らす。





「これが落ち着いていられるか、馬鹿野郎、金返せ、金返さないと警察に捩込むぞ!」





場内怒号と喧騒で溢れ返り、他のホストやスタッフが暴れる加奈を取り押さえるべく、入り乱れて突入し騒然となる。





「金、返せ、お前ら皆泥棒じゃないか、馬鹿野郎!」





「うるさい、阿婆擦れ、黙れ!」





「営業妨害だ。警察を呼べ!」





「泥棒野郎、金返せ!」




「うるせい、殺すぞ、馬鹿女!」





その乱痴気騒ぎを車椅子に座っている雅が、遠巻きに表情を変えず冷ややかに見詰めている。

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