幻想の神社と紅白の巫女。
目が覚めた。
どういう事だろうか。私の最後の記憶はあの神社で自身が消える直前であったとこだ。それが今何故目が覚めたのだろうか。
それともう一つ。目を開けると見知らぬ景色があった。
目線が低い。どうやら倒れているようだ。立ち上がる。まだ目線が低い気がする。下を見てみると、犬の足が見える。どうやら自分の前足のようだ。
私「………。」
い…犬になってる…?しかもちっちゃな子犬
。どうしてだ?確かに私は狛犬だ。けれどこんな子犬じゃない筈だが。
突然過ぎて状況が飲み込めない。無理もない。自身の最後を覚悟したら知らない所にいて子犬になってるのだから。
どっ、どうしよう…。とにかくここにいても何も分からないし、少し歩いてみよう。そう思い私は歩き出した。
数十分歩いた所で思った。疲れた…。
体が子犬であるからかすぐに疲れが来てしまった。そろそろ歩くのも限界だ。休憩しようかと考えていると、少し高い丘の上みたいな所に続いている長い階段を見つけた。
私「ハァ…ハァ……」
上に登れば見晴らしもいいだろうし、もしかしたら誰かいるかも。そう思い階段を上り出した。
また数十分。意外と階段は長かった。でも登ってみてわかった。階段の頂上に見覚えのある赤い建造物。かつて自分のいたところにもあったもの。鳥居だ。と言うことはこの先には…。
私は足を進めた。疲労で倒れそうだが、歯を食いしばり進む。
やっとの事で頂上に着いた。そこに映るのは大きな赤い鳥居、石畳の参道、賽銭箱、本殿……懐かしい昔見た様な景色だった。
神…社…
そこまで見て私は無理に階段を上がった疲労でコテンとその場に倒れた。
?「あら?なんか毛玉が落ちてる…ってなんだ犬じゃないの。……生きてるわね。寝てるのかしら。でもなんでこんなとこで?」
?「まあいいわ、こんなとこで寝てちゃ風邪引いちゃうわ。境内まで連れていきましょうか。」
少し意識が戻ると妙な暖かさを感じた。自分は石畳の上で倒れたのにどうしてだろうか。それに木の匂いもする。すぅっと目を開けると、見えたのは木の箱。大きさ的に賽銭箱だろうか。
立ち上がろうとすると何かが乗っかっているのに気がついた。毛布?一体誰が?それにあたりを見回すと、自分がさっき見た神社の本殿にいる事に気が付いた。いつの間にこっちに来たんだ?
そう考えていると足音が聞こえた。境内の角から人が歩いて来た。
?「あら、もう起きたのね。」
歩いてきた人物は、自分のいた所では巫女に近い格好をしていた。紅と白を基調とした服
、頭には大きなリボン、そして腋…の出ているよく分からない袖。巫女っぽいけど違う気がする。
?「ちょっと唸りながら寝てたから心配したのよ?まあ、なんともないみたいで良かったけど。」
そう言いながら巫女さん(仮)は私の頭を優しい手つきで撫でる。ちょっと気持ち良かった。
巫女「それにしてもどうしてあそこで倒れてたのかしら?ここに入って来れるって事は妖怪じゃないと思うし、それにあなた、野良っぽくないし。真っ白い毛並みなんて珍しいわね。」
私「ワン!」
巫女「まあ、犬に聞いても返してくれる訳ないか。」
今気付いたが、今の私は人間の言葉を喋れないらしい。さっきみたいに喋ろうとしたらワンとしか言えない。やっぱり犬なのか…。
巫女「さて、どうするかなこの子。仔犬って事は親がいるのかしら?でもこの付近は妖怪だらけだし、普通の野良犬なんているわけないわよね?うーん…」
というかさっきからちょいちょい出てきてる"妖怪"。
前いたとこでは結構大昔にはいたけどここに来る前の何十年か前にめっきり見なくなった筈だけど。ここには結構いるらしい。ここから出たらどうしよう…。
巫女「仕方ない…ここから放り出すってのも可哀想だし、宛が見つかるまでここに置いとくか…」
この巫女さん、私を助けてくれるみたいだ。良かった…この身体じゃどうしようもないしな…。
私「クゥン」
私はお礼の意味を込めて巫女さんに頭を下げた。
巫女「あら、頭を下げるだなんてあんたお利口なのね。」
そう言って巫女さんはまた私の頭を撫でた。
こうしてここから、巫女さんとの妙な生活が始まった。
続くといいな。
こんにちは。ユイ猫です。
読んで頂きありがとうございます。
素人なので誤字脱字、変な日本語、名前のミス等あると思いますが頑張ります。
なるべく早く書いて、長く続けたいと思います。
予定では日常、ほのぼのがメインで行きたいと考えてます。どうぞお付き合い下さい。