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出会い

街へ戻った俺は冒険者ギルドへ直行する。さっきギルド登録の手続きをしてくれたお姉さんがいたので、話しかけた。

「すみません、これを買い取って欲しいんですが…」

「あら、さっきの…ええと、レオンくんだったね!」

「名前覚えてるんですか…?」

「まあ、記憶力は良い方だから。で~、ええと、スライムグミの買い取りね!」

アレはこっちの世界でもスライムというらしい。

「27個で270スコルです。」

と言いながら、お姉さんが銅貨らしきもの27枚を出してくるが…スコル?なんだそれ?俺はこの世界の通貨はナピンしか知らんぞ。

どうしよう、聞くか?でもお姉さんに「あらやだ、こんな常識も知らないとかウケるんですけどwww」とか言われたら、心折れる自信がある。うん、絶対聞かないゾ☆

今俺が持っている、通貨の価値に関する情報は、剣最安が80ナピン、宿1泊が3ナピン、スライグミ1個10スコルなどなど。どう考えてもグミ1つで宿3泊はムリだろう。どのレベルの宿かは知らんが、馬小屋ですらそれ以上取られる気がする。あと、スコルは銅貨っぽいがナピンは銀貨っぽいのだ。

よし、1単位あたりの価値はナピン>スコルで間違いない。きっと…おそらく…もしかしたら…。

意を決してお姉さんに話しかける。

「ナピンからスコルへの両替はしてもらえますか?」

「ええ、大丈夫よ!1ナピンでいいかな?」

俺は1ナピン硬貨を渡す。うまくいきそうだ。

「はいこれ。手数料で5%もらいますので、950スコルお渡ししますね!」

「あ、ありがとうございます。」

95%で950って事は、1ナピン=1000スコルということか。ふふふ、さすが俺。不自然に思われず情報を手に入れる事ができたぞ。

俺は満足をしながら受付を後にする。

だが俺は知らない。その後の受付嬢のつぶやきを。

「スコルへの両替なんて変わった人だなぁ。普通は銅貨ばかり持ってても重いだけだし、ナピンへの両替しか頼まれたことないのに…ふふふ…」

俺の作戦は大失敗なのであった。


ギルドから出た俺は道具屋に向かった。道具屋への道順を聞いたのはまたネコミミ娘だったのはたまたまだ。くふふ。

着いて思ったのだが道具屋は武具屋の隣だった。気付かなかったな。

中に入って店主のおばさんに話しかける。

「すみません、冒険用のかばんか何か売ってませんか?」

「ああ、冒険者のリュックでよろしいか?」

「なんですか、それ?」

「冒険者の方がよく使われるアイテム運搬用のリュックですよ。1番安いのはただのリュックですが、高級品になると中が異空間になる魔法がかかっていて、見た目以上にたくさん入るし重さも感じさせない優れもの。うちにある最高級品は50個×50種類が収納できる便利な品です。」

高級品はまさにネトゲのアイテムボックスと同じ働きをするらしい。

「ちなみにおいくら?」

「最高級品は45ナピン。それからランクが下がるごとに安くはなりますが、一番安いのは800スコルから。」

どうせ後で買い直すことになるなら、はじめから良い物を買うべきか。「安物買いの銭失い」とよく言うしな。

俺は45ナピンの冒険者のリュックと傷薬をいくつか買って店を出た。


「さて、どうしよっかな~」

もう俺は気楽だ。スライムを楽に倒せる事はわかってるし、傷薬で不慮の被弾にも備えた。ここまでくると、「もう少し歯ごたえのある敵と戦いたいよなぁ」などと俺のネトゲ脳が騒ぎだす。お前、ここが現実だと分かってんのか?

とりあえずギルドまで戻る。

壁には依頼の掲示板の他にパーティ募集掲示板、臨時パーティ募集の掲示板があるが、パーティはどれもレベル50以降でないと募集がないな。しばらくは問答無用でソロか。

あ、レベルといえば、スライムを倒した経験値を取得していなかった。俺は取得ボタンをタップする。

前回同様体を光が包み、レベルが3つ上がった。

ステータス不足で困っているわけではないので、得たステータスとスキルのポイントは取得経験値倍増に回す。残りは放置しておいて、レベルが上がったら潜在能力解放でも取得しようかな。

そしてそのレベル上げだ。どうしようか。

スライムが一撃だからな。もう少し経験値が高いモンスターも狙えると思う。モンスターも湧きまくるわけではないので、一撃で倒せなくても俺が避けられて安全に戦える程度まで難易度を上げた方が経験値効率が高い。

困ったときはいつもの受付のお姉さんだ!

「スライムを一撃ならワームやフロッグ、フェーゲルヒェンがお勧めですが、10級冒険者には少し厳しい相手かもしれません。十分に気をつけてくださいね。」

なかでも、フロッグはドロップ品のカエルの肉がクエストの収集品になっているらしいので、俺の獲物はそいつで決まりだ。

と、意気揚々とギルドを出た俺を待っていたのは夕焼け空だった。…いきなり出鼻くじくとかやめてくれ。


俺はギルドの向かいにある宿へ入った。

「一泊お願いできますか?」

宿の受付に話しかける。

「お一人様一泊3ナピンですがよろしいですか?」

「それで頼む。」

案内された部屋はビジネスホテルのような部屋だった。悪くない。ただしトイレは共同。風呂に至っては、「フロ?」ときょとんとされた。この世界には風呂はないのかもしれない。

俺は休憩のつもりでベッドに横になったが、疲れていたためそのまま食事も取らずに寝てしまった。今日一日いろいろあったからな。


翌朝、宿に併設されている食堂で朝食を取ると、俺は今度こそフロッグ狩りに出発した。

スライムを狩っていたのとは反対側に向かい、町の外に出る。20分ほど道なりに歩けば小さい川に辿り着いた。そこら辺にカエルがたくさんいる。これがフロッグだろう。

俺は殺蛙鬼(フロッグ・リッパー)と化しカエルを狩り始める。


「ぐあぁぁぁっ!!」

カエルを60匹ほど狩った時だ、いきなり悲鳴が響いた。

何事かと思い振り返ると、後ろで3人組のパーティが2匹のワニに襲われている。

火力(アタッカー)の剣士、(タンク)の盾持ち剣士、回復(ヒーラー)の魔術師だ。壁がタゲをとっている間に火力が攻撃し、回復(ヒーラー)が二人を回復する。いいパーティなのだが、さすがに2匹を相手にするのは分が悪そうだった。挟み込まれては盾でガードしきれないからな。


助けるべきだろうか?いや、でも…。あのパーティ、壁以外女子だし。美少女だし。なんつーハーレムパ、許すまじ。死ねばいいのに。

などと考えているうちに、例のパーティはますます窮地に陥っていた。仕方ない。

俺は覚悟を決めて、ワニに駆け寄る。

「助太刀します!」

そう声をかけて、ワニに剣を振り下ろした。


ヴオオオォォン!

目の前をうなりを上げてワニの尾が通り過ぎる。

俺はワニの片方のタゲを奪い、パーティから引き離すことに成功していた。

ワニは、見た目は恐ろしい上攻撃力もあるみたいだが、見切れる。

ふはは…当たらなければどうということはないのだy…ごはぁっ?!

油断した俺の脇腹を、ワニの爪がかすめる。かすっただけなのにけっこうダメージヤバいぞ…。思ったより格上過ぎたのか。

それでも避ける事に集中すればかわせない攻撃ではない。

かわした直後にチクチク攻撃し続ける。かわしては一太刀、またかわしては一太刀。我ながらいやらしい。地味な攻撃を続けて、なんとか倒すことができた。


ほぼ同時に、あちらのパーティもワニを撃破したみたいだ。

「お疲れ様。」

「おつかれさん。助かったよ。礼を言う。」

お互い歩み寄り言葉を交わした。


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