姫宮桜子●誕生日記念●●「親友との出会い」
4月8日
姫宮桜子ちゃんの誕生日!
漆黒鴉学園高等部の入学式。中等部から入った生徒がほとんどだが、姫宮桜子だけは違う。
住んでいた街から遠く離れた、寮つきのこの学園を選んだ。
高校生活に期待はあるが、一から友人を作れるかどうかの不安が大きい。
桜子はまともに見目麗しい生徒会長の挨拶も聞かず、見もせず、腕を組んで考え込んだ。
入学式が終わった直後、そんな桜子が一人の女子生徒を見た。
艶やかな黒髪が腰まで伸びた美少女。大人しい雰囲気で、目立たない印象だが、それでも魅力的だった。
――何て綺麗な子なんだろ!!
桜子は、衝撃を受けた。
愛らしい小柄なその少女を、桜子は目で追いかける。他の生徒達は、多くが友だちのそばにいたが、その少女は一人でふらりと歩いて体育館を出ようとした。
――あの子と友だちになりたい!
思い立った途端に、行動した。一人の今が、絶好のチャンスだ。
白い白い渡り廊下で、桜子は呼び止めた。
「あたし、高等部からこの学園に入学してきた姫宮桜子。よかったら、お友だちになってくれないかな」
ドキドキしながら、桜子は手を差し出す。少女は丸く大きな黒い瞳でその手を見た。それから桜子と目を合わせる。
「……私は、宮崎音恋」
か細く静かな声。桜子の手を握り返す手は、小さく可愛らしかった。
宮崎音恋は笑い返さなかったが、桜子は大喜びした。
「音恋ちゃん、って呼んでもいいかな?」
「はい、どうぞ」
「やった! あたしのことはサクラって呼んで!」
それが、親友との出会いだった。




