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赤神淳●if●クリスマス前

2012年 12月 24日 (月) 21:51

▼タイトル

漆黒/赤/クリスマス特別番外編


▼本文

エロボイス攻めの回を書いている最中に思い付いたものです。本編に書こうと思いましたが、冬まで待てないので番外編で書くことにしましたw

本編に書くかもしれないし書かないかもしれません!←


季節は冬。クリスマス前です。

赤神先輩と音恋ちゃん。

エロボイス攻めの回を書いている最中に思い付いたものです。本編に書こうと思いましたが、冬まで待てないので番外編で書くことにしましたw

本編に書くかもしれないし書かないかもしれません!←


季節は冬。クリスマス前です。

赤神先輩と音恋ちゃん。





 校舎の中にいても、吐く息が白くなる。早く寮に帰ってラウンジのストーブの前を陣取り暖まろうと思い廊下を歩いていたら、目の前に音もなく彼が現れた。

 しまった。

昨夜また何度も電話をかけてきたけど無視をしたから、来ると予測できたのに、この酷い寒さで忘れてた。

 無駄だけれど、背を向けて逃げようとしてみた。やっぱり無駄で、捕まってしまう。


「アンタって、本当に俺を苛立たせる天才だな?」

「用がないなら帰らせてください」


 ブラウンのコートを羽織った赤神先輩は鷲掴みにした私の頭を動かして顔を上に向かせる。

にっこりと上っ面な笑みを浮かべた赤神先輩に見下ろされた。

 かと思えば、ひょいっと抱き上げられました。

赤神先輩は私を抱えたまま廊下の窓を開けると、私を外に出す。

冷たい外気に包まれて震え上がる私の隣に、赤神先輩も窓から這い出て立つ。


「い、いじめですか。寒いですっ」


 今年一番の寒さを記録する今日は、雪が降り積もった。白い学園が更に白い。

だから早く寮に帰りたかったのに。

こんなところで電話の件をまた怒られるなんてごめんです。

 自力で窓から戻ろうとしたけれど、ピシャッと先に赤神先輩が窓を閉めてしまう。

それから赤神先輩は私のお腹に腕を回すと、その場に座った。


「先輩っ」


 いくらタイツやセーターで防寒しても、外は寒い。せめて暖かい場所にしてください。

怒ろうとしたら。


「こうすれば寒くないだろ」


 赤神先輩が着ている自分のコートの中に私を包み込むようにして両腕で抱き締めた。

寒くは、ない。あったかい。

コートの中、あったかい。

外気から守られているし、温もりが逃げていかない。


「……あ」


 寒くはないけれど、この密着状態に納得出来ません。

私の弱点である赤神先輩の口が、耳のそばにある。以前のように耳攻めをされてしまう前に、立ち上がろうとした時に、赤神先輩の意図に気付いた。


「雪が降ったら見せてやろうと思っていたんだ。この景色。綺麗だろう?」


 中庭の隠れスポット。

階段横の陰から見ると、白い校舎は輝きを増して、木々も緑が輝く場所。五月に一度見て、綺麗だと思ったことをよく覚えている。

今日は、中庭にも葉が落ちた木にも真っ白な雪が降り積もっていた。

きらきらと真っ白な雪が太陽を照り返して眩しい。

好きな声を耳に吹き掛けられても、その景色に見惚れるくらい綺麗だった。


「素敵です」


 純白の景色。それを眺めてあたたかさに包まれながら一息つく。

そしたら耳元で彼が笑った。

笑った声は流石に意識が持っていかれる。


「その目が見たかった」

「?」


 振り返ろうとしたけど、振り返ったら色々まずいと思いやめた。

赤神先輩は私を引き寄せてギュッと抱き締める。こめかみ辺りに赤神先輩の頬が当たった。


「昨夜の電話はこれを見せるためでしたか」

「ああ、これを見せながら今度こそ首を縦に振らせるためだ」


 そっと赤神先輩は私の耳に囁いて、落としにかかる。

やっぱり用件はそれか。

一ヶ月前から彼はそればかり。


「いくら囁いても答えは変わりません」


 ことあるごとに私の弱い囁き声を耳に吹き掛けられたから、いい加減耐性が出来てきた。

こんな密着状態でも、頷いたりしない。


「音恋……クリスマスはもう目の前だぞ」

「だからなんですか」


 しれっと返したら、腕で締め付けられた。

赤神先輩はクリスマスを二人きりで過ごそうとしつこく誘ってくるんです。

もうサクラ達と過ごす予定が入っている。それに赤神先輩と二人で過ごす理由なんて私にはない。

何度断っても、赤神先輩は諦めてくれない。

 クリスマスまで、あと三日。


「俺と過ごそう、音恋」

「お断りします」

「音恋」

「お断りします」

「……ちっ」


 舌打ちにドキッとしてしまいました。

密着のせいで、それが赤神先輩に伝わってしまう。


「効いてるじゃないか、くくくっ」

「でも頷きませんよ」

「ふぅん? ……また真っ赤になってるぞ」

「……暑いからです」


 貴方の腕の中にいるせいです。

声だけではなく、赤神先輩の熱のせいで暑くなってきた。でもそれが丁度良くて、心地いい。

離れがたいと思いのは、この景色をもう少し眺めたいからだ。あと、離れたら寒さを感じてしまうからです。

そう自分に言い聞かせながら、両手で頬を押さえた。熱い。


「音恋。クリスマスを俺と二人で過ごそう」

「……お断りします」


 珍しく穏やかな声で囁く赤神先輩は、頬をすり寄せてまた私を抱き締めた。


「じゃあもう少し、こうしていよう」


 心地よさそうな声と微笑みの息が、私の首に吹きかかる。 くすぐったい。


「────…はい」


 私はもう少し、この景色が見たいだけです。

雪が溶けてしまうその前に、景色と温もりを記憶に焼き付けました。






甘く感じられましたでしょうか?(笑)

コートの中に閉じ込められた音恋ちゃんwあともう一押しです、赤神先輩!な感じに仕上がりましたね。


それでは、メリークリスマス!

2012年 12月 24日 (月)

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