その5
〜大陸のどこか〜
「その男は……ボルドーに送った我の式を易々と破り…その破壊は、遠く我の体にも届いております。」
立っているのは影を纏った男、腹や肩は血が滲んでいる
「そうか…遺産からバーサーカーが…興味深い…ありがとう、ご苦労だったねゲドー…疲れたろう、休んでおくれ」
天使の様に微笑む男、艶やかに長く伸び、
たくりんとした金の巻き髪
魔力を湛えた紫の瞳、眩しい白銀の甲冑
胸には鳳凰の紋章が刻まれている
「…承知」
「でも…遺産を逃したのはマイナスだったね」
ザラリとした、殺気
「…お、お待ちを!!」
ゲドーの背後から何者かが音もなく現れる
その顔は仮面で隠れされている
「…その!鳳凰の面は…面割の…ま…待ってくれ!」
仮面の男がゲドーの頭を両手で掴む
「おやすみ、ゲドー」
銀騎士は、にっこり笑う
仮面の男の親指が、グシャりと影の額に押し込まる。
ゲドーの体が、柑橘系の果実のふさを分ける様に左右に裂かれた。
「その技は、いつ見ても美しいね」
声に応えて、仮面の男が銀騎士に跪坐く
「勿体無きお言葉」
「君と遺産の男…どっちが強いかなぁ…」
「私に敗北は許されません」
「そうだったね……」
優しくも冷たく輝く瞳で銀騎士は微笑んでいる
「しかし…イスリールはやっぱり遺産を隠していたんだね……悪い子だ……はぁ勿体なぁ……美しい街だったのに」
「…」
「まぁ、僕の計算よりも、ボルドーの鴉さんの退場が早まっただけよしとするか」
「…」
「さぁ、悪い子は "お仕置き" しないと…ね」
……………
………
…
「そんな…お父様…ユッケも…来るな…来るな化け物…あぁ…オグナ…助けて」
ある日、イスリールは、地図から消えた。




